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第20話

想いが通じたことが幸せだった。叶うのは困難な恋だと思っていたからだ。 「オレ、明希にいっぱい触られたいって思うんだけど、変かな?」 「いや、」 不安そうに言う夏樹の頭を撫でて、明希は微笑んだ。 「それは自然な感情だ」 恋愛経験なんて皆無だし、この恋が初めての恋だから、何をどうすればいいのかは分からない。何をどのタイミングでしていいのかさえよく分かっていない。だからこそ、今の自分の思いをぶつけることで、それは良いことなのかと一つ一つ確認したかった。おかしなことをして明希に嫌われたくはない。 「明希は、オレ相手に興奮してくれる?」 「確認したらどうだ?」 夏樹は明希から降りて、明希の下半身をちらり、と見た。瞬間、ぶわっと顔が熱くなる。確認するというのは即ち見るか触るか、ということで。固まる夏樹はゆっくりと明希を見た。明希は首を傾げている。 「今更だろう?」 「そ、そう……だよな」 明希にそう言われ後に引き下がれなくなってしまった。恐る恐る明希の下半身をズボン越しに触れる。パジャマの上から感じる確かな質感にどくん、と心臓が高鳴った。熱くて固いそれは、確かに興奮している証だった。 「……」 先程見たアダルトビデオが脳裏をよぎる。男女のセックスは見て学んだが、男同士だとどうするのだろう。もし夏樹が女なら、この熱いものを中で感じることができたのに。そう思うとなんだか悔やまれる。 「エッチなこと考えてるのか?」 「え?!なんで、わかっ……」 「顔に書いている」 明希はそう言うと、夏樹の頬にそっとキスをした。そのまま耳たぶを食み、なあ、と小声で呟く。耳元で囁かれ、ぞくぞくぞく、と全身に快感のようなものが走った。 「夏樹はどうしたい?」 どくん、どくん、と心臓が高鳴る。顔が熱い。体もなんだか火照っている感じがする。今何をしたいかなんて、答えは一つだけだった。 「……セックス、してみたい」 あんなDVDを見なければこんなことを口にすることもなかったのかもしれない。いや、あくまでもあれはきっかけにすぎず、心の奥底ではずっとそれを願っていたのかもしれない。明希ともっと深く繋がりたい。もっともっと、近くで明希を感じたい。 「明希が、ほしい」 「夏樹」 名前を呼び、明希は夏樹を優しく強く抱きしめた。明希の体温が伝わってくる。それだけで幸せいっぱいの気持ちになる。 「オレも、夏樹の中に入りたい。いいか?」 ぎゅう、と明希を抱き返し、夏樹は小さくこくん、と頷いた。

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