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第22話
カチ、と音がしたと同時に部屋が暗くなった。
少しして目が慣れてくると、明希がベッドに戻ってきて夏樹の頬にキスをした。
「……すまない夏樹」
「え?」
明希は少し申し訳なさそうな声のトーンだ。
よく分からなくて夏樹は首を傾げた。
すると、明希ははぁ、と溜息をついて頭を抱えてしまった。
「お前の肌を見ただけで、ムラムラしてしまった」
「!」
思わず赤面してしまった。
部屋を暗くしておいてよかった、おそらく気付かれてはいないだろう。
「そんなの、オレだって、」
明希の体はとても綺麗で、ついうっとりと眺めてしまう。
華奢でもないけど、ほどよく筋肉がついていて、男、という感じがして。
「オレも、明希の裸見たらドキドキする」
お互いにお互いを見て、なんだか少しおかしくなってしまった。
同じようなことを同じタイミングで考えている。
そう考えているのが自分だけではなかったのだと安心できる。
「明希、オレ、どうすればいい?」
知識がありそうな明希に何をすべきか尋ねてみた。
何もわからない夏樹が自分で考えるよりは、きっと理想のセックスに近付けるだろう。
……って、理想のセックスってなんだ、と自分の心の中で夏樹は突っ込んでしまった。
「そのまま、仰向けに寝転がればいい……と思う」
知識が豊富な明希でさえ、行為自体は初めての様子で。
お互い、探り探りことを進めていくことにした。
ベッドに仰向けになると、明希が夏樹に馬乗りの状態になった。
なんだかいつもの明希ではないみたいで、見下ろされるだけでぞくぞくする。
「明希さん明希さん、オレ、これだけで既にやばいです」
特に下半身が、と言わんばかりに明希に今の状況を伝えると、明希はふっと吹き出してしまった。
「一回抜いておくか?」
「あー……そうしてもらえると助かる気がする」
なんて情けないのだろう。
まだ上半身だけ裸になって押し倒されたような体勢になっただけでセックスのセの字も見えてこないというのに下半身が限界だなんて。
若気の至りとでもなんでも思ってもらえれば幸いだが、自分からは恥ずかしくて何も言えない。
「脱がす、ぞ」
「…………はい」
ズボンの中に明希の手が入ってきた。
たったそれだけなのに心臓がはち切れそうなくらい緊張する。
このまま何でもしてもらっていてはマグロになりかねない、が、自分から脱ぐことは恥ずかしくて躊躇われてしまう。
そうこうしているうちに夏樹の陰部が外気に晒された。
ゆっくりと足からズボンと下着が抜き取られ、ふぁさり、とベッド下に落とされる音が聞こえた。
上下、完全に裸になってしまい、恥ずかしすぎて死んでしまいそうだ。
電気を消してもらっていて本当によかった。
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