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第26話
不特定×夏樹表現が出てきます。
苦手な方はこの先はご遠慮ください
季節は初夏になっていた。
夏樹は高校二年生に進級しており、市内の市立高校に通っていた。
成績を考えればレベルの高いところにも行けたのだけれど、興味がなかったし、何より、家が近かった。
中学時代の成績からはきっと今の夏樹を想像できないだろう。
常に上位に食い込んでおり、だけど学校では必死に勉強している姿を見せない。
見た目の可愛さもあって、夏樹を見れば騒ぎ立てる女子は多かった。
何度も告白を受けたけれど、夏樹は女性に興味がないので丁重に断る日々だった。
夏樹が好きな人は、もう、この町にはいない。
あれから三年、連絡は一切ない。
明希からの着信はずっと鳴らないままだ。
あの時好きと言ってくれたのは嘘だったのだろうか。
夏樹のことなんてどうでもよくなってしまったのだろうか。
そんな思いが何度も過って、だけど、考えても答えは出なくて。
そのうち、考えることを諦めた。
明希の存在を考えないようにした。
あれは幻想だったのだと思うことにした。
ひと夏の思い出だったのだ、あの恋は。
きっと、夏樹がこの先本気で恋をすることなんてないだろう。
そのくらい、ぽっかり穴が開いてしまっていた。
日々もつまらなかった。
明希のいない日常なんて、何の刺激もない。
学校で授業を聞き、帰宅して復習・予習をして寝る日々を繰り返していた。
部活動には入っていない。一切興味がなかったからだ。
否、もう一つ、不定期に行っていることがあるといえば、ある。
「なっちゃん」
放課後、帰ろうとしていた夏樹に声をかけてきたのは高校から一緒になった吉川音流(よしかわねる)だった。
音流はキラキラネームガコンプレックスらしく、名前を呼ばれるのを嫌っている。
オレンジ色の派手な頭髪をしており、身長は180センチと高めで、165センチしかない夏樹は必然的に見上げる形になる。
「今日、暇?」
「……」
音流からの誘いの内容は決まっている。
夏樹は手帳を開いて今日の日付に何も書かれていないのを確認する。
音流もそれを確認し、決まりだな、と夏樹の肩を抱いた。
(まあ、いいか。今更減るもんでもないし)
夏樹はそんなことをぼんやり考えながら、音流に促されるままに学校を出て、住宅街へ足を運んだ。
音流は高校生にして一人暮らしをしている。
家庭環境はよく分からないが、それが好都合で、よくこの家には足を運んでいる。
カバンを適当に床に放ると、後ろから音流に抱きしめられた。
「今日は何人?」
「なっちゃん淡泊だなぁ。小野の前ではあんなに人懐っこそうにしてんのにー」
小野、というのは中学三年生からの夏樹の友人だ。
何の縁か、高校になってもずっとクラスが一緒で、親しくしている。
夏樹と明希の関係も知っていて、よく相談もした。
「小野ちゃんとお前を一緒にするな、失礼だろ」
「えー?それどういう意味?」
音流はにやにや笑いながら首筋にキスをしてきた。
そのまま舌を這わせ、耳たぶをかじられる。ぞく、と身震いした。
「小野ちゃんはこんなことしない」
「混ぜてもいいんだぜ?」
「ふざけるな」
「はははっ。冗談だよ、怒んなって、可愛いなぁ」
音流は乱暴に夏樹をベッドに押し倒すと、ブレザーのボタンを一つずつ外していった。
カッターシャツのボタンを外し終えた頃、インターフォンが鳴ると同時に同じクラスの男子生徒が二人ほど入ってきた。
音流の友人と思われる。
「今日は三人?」
「うん。いいだろ?」
夏樹が不特定の人間と寝るのは今に始まったことではない。
ハッテン場と呼ばれるカフェで出会った男と関係を持ったことが始まりなのだが、ホテルに入るところを音流に見られてしまったらしい。
それをネタに揺さぶられ、こうして暇さえあれば抱かれている、というわけだ。
「よーっす!オレらも混ぜてー。和谷、お前色っぽいなー」
「前々から気になってはいたんだよ、オレ可愛い系超好み」
好き放題言っているが、夏樹の心には何にも響かない。
早く終わってくれないかな、と思うだけだ。
「なっちゃん、ほら、折角来てくれたんだから可愛いとこ見せてやれよ」
「は?勝手にやればいいだろ」
「じゃ、勝手にやるー」
音流は手際よく夏樹のズボンと下着を取っ払い、後ろから両足を抱えて開脚させるようにして持ち上げた。
男子生徒二人には夏樹の性器が露になる。
「ばか、音流!」
「顔赤くしてんの、かーわいいー!」
男子生徒はにやにや言いながら囃し立てる。
ああ、もうどうでもいいからさっさと終わらせてほしい。
今日の課題がまだ半分しか終わっていないのだから。
「……やるならやれよ」
「だってよ。じゃ、始めるか」
その間のことは、特に鮮明に覚えているわけではない。
ぼんやりと天井やら布団を眺め、今日学んだことを頭の中で反復しているだけだった。
早く終わらないかな、と、突かれながらもそればかりを思っていた。
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