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……で、結局そのまましてもらったわけだけど。
「……大丈夫?」
「大丈夫か大丈夫じゃないかで言ったら大丈夫じゃない」
ベッドヘッドにもたれかかったまま呆然としている俺を心配そうに見やる環の言葉に、俺は正直に答えた。
とんでもない世界を知ってしまった。これが「快感」というものか。
そう、結果から言えば、やばいくらいものすごく気持ち良かった。むしろもうただただやばい。
本人が言うだけあってかなり慣れているらしく、抵抗を抱いたのは最初の一瞬だけ。咥えられたらもう、それこそすべてが無駄な抵抗だった。
後はもう抗うことも出来ず、ただただ気持ち良くなってしまった。それこそ、しゃぶる環の少し苦しそうな声さえいいと思えてしまうくらい。男のプライドどころか、男に生まれて良かったとさえ思うほどに。
「良かったでしょ?」
「いいからこそ大丈夫じゃない」
「なんだ、いいならいいじゃん。口なんて男も女も変わんないよ。そんな難しい顔しないでよ。……え、なに?」
しかめ面をしている俺を笑い飛ばして終わる気でいる環の手を掴み、俺は決心を固めた。
「俺もしてやる」
最初から自分で望んだわけじゃないとはいえここまでしてもらって、されてるだけってのも申し訳ないし、ぶっちゃけ悔しい。
だから同じ目に遭わせたくて、戸惑う環の股間に手を伸ばす。さすがに口は無理だけど、手ぐらいだったらやれないこともない。
「え、いいよ。いらない」
「いいから。これぐらいならできる」
人のモノを握るという嫌悪感は幸いこのタイミングでは浮かんでこなかった。どういう遠慮なのか、断って離れようとする環の脚(細すぎて一瞬だけひるんだ)を掴んで半ば強引に開かせると、そのまま手荒く扱く。
「あッ」
驚いたのか小さく声を上げてびくんと体を震わせた環の様子に合わせて、少しだけ手を緩めるとその表情を窺った。
「ん、んん、まっ、て、そんなのしなくていいって……」
「本当に嫌ならやめるけど?」
焦れったい緩さに息を乱す環にさっきのお返しをしていやると、一瞬の間の後、なにも言わずにぱったりとその場に倒れ込んだ。まあここまでしといて終わりは酷だよな。
だから俺はそんな環の様子を観察しながら徐々に指の動きを速めていく。
さすがに扱いているモノ自体を凝視してしまうと頭が冷えてしまいそうだったから、代わりに反応する環の方に集中することにした。
頬を紅潮させて小さく声を上げている環は、バーで見た時よりはっきり顔が見えている分「イケメン」というより「綺麗」とか「可愛い」って印象が強くて、段々といじめるのが楽しくなってきた。俺の指の動き次第で子犬みたいに可愛い声で鳴かれるとこっちまでいい気分になってしまう。
その上、あまり声が出ないようにと自分で口を押さえて悶えてる環は、正直な所かなりエロくて、もう少し俺の理性が緩かったら勢いで抱いてしまっていたかもしれない。
バーにいた時に現実逃避のために強い酒を飲んでいなくて本当に良かった。だってもう少し酔っ払っていたら絶対にそのまま足をもっと開かせて突っ込んでいたはずだ。……実際、俺の方もちょっと勃っていたし。
もしかしたら環はそれでもいいと言ってくれたかもしれないけれど、俺としちゃそれは絶対に超えちゃいけない一線で。
無事イかせた後の環はなにか言いたげな目で俺を見ていたけれど、結局はなにも言わず、一つのベッドの端と端で背中合わせで眠った。
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