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fellow key 12
「俺のこと欲しい?」
「丸ごと全部欲しい」
「じゃああげる。かっこよくて、可愛くて、いい体してるピチピチの俺をぜーんぶ優ちゃんにあげる」
幸せそうで、楽しそうで、全部あげるなんて言葉を易々と言える環をどれだけ愛おしく思うか、たぶんこいつにも、そして少し前の自分にも考えつかないだろう。
最初は本当に男になんか興味なかったし、だから本当に保護のつもりで家に呼んだんだ。危なっかしいと思う気持ちしかなかった。
だけど環を知って、その気持ちに触れて、それと同時に環に対する自分の態度が普通じゃないということも遅ればせながら気づいて。
認めづらいことにこじつけの理由をつけて曖昧にしたけれど、結局認めざるを得なくなった。
俺はこの危うくて綺麗で俺の感情を揺さぶる環が好きなんだって。
それを認めてしまえばもう色々我慢するのがバカらしくて、もう一度キスをしてからまずは環をイかせるために再度右手を動かすことにした。強めの刺激を好む環は、だけど恥ずかしいらしく顔を必死で隠そうとするから、その手を片手で押さえて表情を晒してやる。
その状態で追い込むように扱いてやれば、環が息を上げて俺を縋る目つきで見てきた。
「ゆ、優ちゃん、なんで」
「そういや最近イく顔見てなかったと思って」
「ん、やだ、恥ずかしいって……」
残った片手で防げないと知り、顔を背けてなんとか俺の視線から逃れようとするけれど、結局快感に負けて大人しくそれに浸りだした。
作りのいい顔は快感で歪んでもやっぱり綺麗で、見られる恥ずかしさも相まって羞恥と快楽のはざまで揺れているのもまた魅力的で。
思えばこの時の顔が原因で俺の道が変わったのかもしれないとさえ思った。
「あっ、う、あ、もうイ……っ!」
そしてさほど時間をかけず、上擦った声とともに白濁液を俺の手の中に断続的に吐き出して、環は大きく息をついた。そして涙で潤んだ目で睨みつけてくるけれど、目の端が赤らんでいるせいで色っぽさしか感じない。
そんなアンバランスな魅力が遠慮なく俺を煽る。
「もうやめるか?」
「冗談やめてください」
嫌だったらやめるけど、といつかのセリフを言ってやれば、「ドS」と一言返されて笑う。
俺としてはただのちょっとした焦らしで、本当のSだったらこんなものではないだろうと思うけれど、今あえてそこを追及するつもりはない。
俺はただ環を気持ちよくしたいだけなんだから。
「じゃあ……そういえば後ろを向いた方が楽だと見たんだが、お前的にはどうだ?」
「あ、なんか勉強した?」
「まあ、少々」
「んー、確かにバックからの方が楽かも」
ああやって啖呵を切った手前、手間取ってできませんでしたじゃさすがに終われないから、そこそこ知識は入れた。とは言ってもネットの知識だから本当かどうかはよくわからない。さすがに練習するのは無理な事柄だし、色んな意見を見比べたところでそれが実際通用する知識なのかは結局のところわからずじまいだった。
あくまでそういう意見があったという曖昧な情報を口にする俺に対し、実体験からの経験で返されて飲み込んだ空気が喉に詰まりそうになった。その事実に複雑な気持ちを抱かないでもなかったけれど、こういう時は大人しくその助言に乗っておこう。
そう決めて、軽い咳払いで気持ちを切り替え、環をベッドの上に四つん這いにさせる。
小さな頭から伸びた細い首と白い背中、細すぎない引き締まった腰に平らな尻から伸びた長い脚。女性の曲線美とは違う、まるでよくできた彫刻のような整った美麗さがその後ろ姿にはあって、思わず見惚れたのは環にはナイショ。
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