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【mon petit ami】ノッキ@乃木のき

僕の恋人はとても可愛い。  稲生勇吾は(いなせ ゆうご)は傍らを歩く和田一都(わだ いちと)の腰をグっと抱き寄せると顔を寄せた。シャンプーと夏の匂いがまざった体臭がふわりと上がる。 「勇吾さん、恥ずかしです」  頬を染めてたしなめる一都にごめんと謝りながら、勇吾は高ぶる自分を必死に抑えた。  恋なんて何度もしてきたけど、一都と出会った瞬間それらは霧散した。  全身の血が巡りドクドクと鼓動が脈打つ。どこか幼くあどけないほほえみ、柔らかな物腰、少しだけ高めの声。一都から目が離せなくなる。  偶然同じ場所にいて同じ時間を生きている。それは奇跡のように思えて勇吾は声をかけずにいられなかった。断られてもめげなかった。何度目かの告白でようやく観念したようにOKしてもらった時には思わずガッツポーズをとり神様に感謝した。  それから数か月。初心な一都を怖がらせないように清らかなお付き合いを続けている。  だが今日は夏祭りだ。  今までも何度かデートを交わしたし、夜のお出かけ、開放的な雰囲気、そして浴衣。これはそろそろ次の一歩を進めてもいい頃合いなんじゃないだろうか。  そんな秘めた下心に気がつかない一都は今日も愛らしく僕の隣で微笑んでいる。  下駄の音を鳴らしながら神社の境内をひやかして歩く。やきそばやたこ焼きなど定番の食事をおいしそうにほおばる一都を見ているだけで幸せだ。口の周りについているソースを指で拭ってそれを舐めると恥ずかしそうにうつむいた。 「勇吾さんって、優しいですよね」 「そんなことはないと思うけど?」  好きでたまらないから、触りたくて仕方ない。きっかけなんてなんでもいいから一都に触れたい。そんな僕の心には気がつくはずもないだろう。   休憩所で足を休めながら時計を見るとまだ8時ころだ。 これからどうする? と視線で問いかけると一都は何を勘違いしたのか「帰りましょうか」と言った。 「なんで? 疲れちゃった?」 「いいえ。全然。ぼくは楽しいんですけど勇吾さんを連れまわしちゃったかなって」  一都を眺めているだけで満足していた僕があまり食事をしなかったことを気に病んでいるらしい。 「そんなことないよ。一都といると楽しいから、まだ一緒にいたいよ」  ニコリと笑みを浮かべると安心したように一都も笑う。ああ、やっぱりそんな君が大好きだよ。 「じゃあこのまま流れてどこか飲みに行こうか」  そう誘いかけるとパっと顔を明るくさせ「行きたいです!」と答えた。 「ぼく、あまり飲みに行ったことがないので勇吾さんと一緒に行ってみたいです」 「よし。じゃあ、行こう」  祭りの流れからかいつもより混んでいる道を歩きながら、良さそうなお店を探して歩く。せっかくだから一都の入ってみたいお店にしようと提案するとさらに嬉しそうにする。ブラブラと外から覗きながら何件か物色していると一都は一軒のお店の前で足を止めた。  見ると赤ちょうちんのかかった昔からやっているような渋いお店だ。 「ここ?」  聞くと頷いて「だめですか?」と眉を下げる。 「いや、いいんだけど。もっときれいでおしゃれなお店を選ぶのかなって思ってたから。いいの?」 「はい。こういうお店にのれんをくぐって入って行って、いつもの、とか言ってみたくて」  その答えに僕は思わず噴き出した。 「そんなことに憧れていたんだ。でも初めてのお店で、いつもの、とは言えないけどね」 「ですよね」  テヘヘっと照れたように笑う一都の背中を押してのれんをくぐらせた。引き戸を開けると想像通りに演歌が流れている。カウンターの中には大将と呼びたくなるようなたくましいオジサンがうちわで火を仰ぎ、食欲をそそる匂いを立ち昇らせている。 僕たちに気が付くと「らっしゃい」とだみ声を上げた。 「カウンターとお座敷どちらで?」 「カウンターにしようかな」  せっかくだからこのお店を十分堪能してほしい。  小さな椅子を引き、腰を下ろすとまもなくおしぼりが運ばれてくる。 「ビールで」と僕が言うと、一都も「ぼくもビールで」と倣った。  すぐにキンキンに冷えたジョッキが出され、乾杯と言いながらカチンと合わせた。グっと飲み干していく一都の喉のラインがやけに色っぽく思わず見とれてしまった。 口の周りに泡をつけて「おいしい!」と笑う姿にいとおしさがこみあげてくる。僕の恋人は本当にかわいい。  本日のおすすめだというお刺身や焼き物、サラダなんかをつまみながら、今年の夏にしたいことを一都は話した。 「勇吾さんといるとすごく楽しいから、たくさん一緒に何かしてみたいです」 「そう? じゃ夏休みを合わせてどこか行こうか」 「いいんですか!? わあ、楽しみだな」  お酒の力も入ってか、いつもより良く笑い楽しそうな一都をこのまま帰したくないなと思った。やっぱり今日こそ次の段階に進みたい。  おなかを満たしてお店を出ると街はまだ賑わっていた。人波にもぐりこむ。  ほろ酔いの一都はご機嫌に笑い、すっと体を近寄らせた。恥ずかしがりやで人の目を気にしてしまう彼にしては珍しい。 「酔った?」  もしかして気持ちが悪いのかと顔を覗き込むと、ほんのりと紅潮した一都がとろんとした視線を向けた。 「大丈夫ですよ。本当に優しいなあ、勇吾さんは」  ふふ、と笑いながらスリスリと僕の浴衣に顔をすり寄せた。  触れた場所の体温が高い。 「勇吾さん」  耳元で声がしたかと思うと、グイっと袖を引かれ至近距離でぶつかり合う。柔らかな感触が頬に触れて、僕はぎょっとしたように一都を見た。 「一都?!」 「好き、です。勇吾さんのこと、すごく好き」  思いがけず伝えられる気持ちに心臓が高鳴る。 「ありがとう。嬉しいよ」 「そうじゃなくて……好きなんです。わかってますか?」  うるんだ瞳でじっと見つめられ、僕は動きを止めた。 「勇吾さんの好きとぼくの好きは同じですか?」 「同じだけどちょっと違うよ」  すれ違う人がいかにも邪魔そうにぶつかっていく。だけどそれも気にならず僕は一都の肩に手を置いた。 「僕の好きはもっといやらしいし、一都がびっくりするくらいドロドロしてる。軽蔑する?」  清らかな一都も愛おしいけれど自分の腕の中だけの姿も見てみたい。嫌われたくなくてずっと求めることができなかったけど、僕の好きはそういうことも含めての好きだ。 一都はフルフルと首を振るとつま先立ちをするように上体を伸ばすとキスをした。まるでぶつかるような、つたない触れ合い。  あまりの驚きに動けないでいると、一都はギュっと抱きついて胸に顔を押し付けた。  「ぼくの好きもそういう好きです」  人のいるところでは距離を置きたがるし、触れることを嫌う一都が今、こんなにたくさんの人の中で僕を求めている。それは言いようもない感動を与えた。 「……帰さないから」  低く唸るような声が漏れた。隠し切れない欲情が立ち昇る。  奪うように手を引くと一都はおとなしく後をついてきた。カラコロと下駄がせわしない音を立てる。  初めてはおしゃれなレストランでディナーをして、夜景の見えるロマンティックなホテルがいいな、なんて計画もこれですべて台無しだ。 賑やかな繁華街から道路を一本隔てた場所にある、変哲もないホテル街に紛れ込む。一見できれいそうな店を選んだけれどロマンもムードもあったものじゃない。祭りの後で満員の続くホテルの部屋を一室なんとかキープして、そこに一都を連れ込んだ。 鍵を受け取って早足で廊下を進んだ。同じドアが並ぶ中で誰もかれも発情してセックスをしている。防音はしっかりしているのか、どこからも物音ひとつ漏れない。 一都は黙って僕に手を引かれたままついてくる。  鍵を開けて部屋の中に潜り込むと、余裕もなく抱きしめた。汗ばんだ一都の匂いを吸い込んで首筋に吸いついた。焦るなんてかっこ悪いのは承知だけど、あんなに可愛く求められたら我慢も限界だ。 「勇吾さん」  今にも消えそうな声で呼ばれると、誘われるように唇を見た。もっと紳士的に求めてあげたかったのに熱に侵されたようにむさぼりつく。 「んっ、う、むっ、」  まるで溺れるように息継ぎを求める一都に休む間を与えることができない。舌を絡めて唾液を交換し合う。喉の奥が苦し気に鳴る。甘い唾液を吸い尽くしたいとばかりに舐めまくると立っていられなくなったのか膝を折った。 「ごめん」  乱暴にしすぎたかと支え起こすと、とろりと欲情した瞳がそこにあった。普段は清楚な一都の見たことのない姿だった。 「キス、気持ちよくて……立ってられない……」  ペロリと唇の周りを舐めるしぐさに頭の中がスパークする。  優しく丁寧に愛してあげたいのに、今すぐにでも暴いてしまいたい熱情が全身を駆け巡っている。  浴衣の裾を割って手を入れるとそこはしっとりと濡れ、痛々しいくらいに勃ちあがっていた。下着を押し当てている先端をグリグリとするとさらに濡れる。 「キスだけでこうなっちゃったんだ」  耳たぶを噛みながら囁くと、一都はブルリと震えた。 「だめ、そんなところ、触っちゃ」  羞恥に染まる一都が愛おしくて足元にひざまずくと合間に体を押し込んだ。顔の前にプンと男の匂いをさせる象徴がある。鼻を寄せてスンと匂いを嗅ぐと慌てたように一都は足を閉じた。 「や、っ、汗かいてるし、汚い……っ」  イヤイヤをする一都の足をこじあけてさらに顔を押しつけた。しなやかに弧を描く肉感を下着の上から口にくわえた。 「あ、やあっ、勇吾……っ、さんっ」  食むように動かしたり息を吹きかけたりするたびに太ももがブルブルと震えた。じっとりと濡れた下着は色を変えている。ちょっと指をずらしただけで高ぶりはブルンと顔を出し素顔をさらした。  まだ桃色で清らかな一都のペニスの先端は濡れて光っている。指ですくえるほどとろみをこぼす雫を舐めると青臭い味が広がっていった。 「あ、あー……っ」  可憐に口を開く鈴口を刺激すると一都は悲鳴にも似た声を上げた。全長を含み上下の動きをすると一都は僕の頭をつかみ懇願するようにすすり泣いた。 「もう、ダメえ……おかしくなっちゃう」 「なって。見せて、おかしくなる一都のこと」  わざとなくらい音を立てた口淫を施すと一都のすすり泣きはさらに強くなる。 「あっ、あ、あ……」  声にならない声を上げ、一都は首を振った。 「ダメえ、出ちゃう、ねえ、勇吾さん、出ちゃう」  手加減をしないでさらに追い詰めると、一都は震えるように吐精した。ビュクビュクと吐き出すそれは若さにあふれ、僕の口の中にあふれていく。ゴクリと飲み込み最後の一滴まで舐めきると、一都は崩れるように倒れた。呼吸が荒い。 「飲んじゃったんですか?」  ハアハアと乱れた息で問いかけられ頷くと一都は顔を真っ赤に染めた。 「ごめん、余裕なくて」  支えるように立ち上がらせると向かい合ってギュっと抱きしめた。本当ならここから始めなきゃいけないのに突っ走りすぎたと反省をする。  すっかり乱れた浴衣の帯をほどき床に落とすと、薄暗く淫靡な部屋の中に一都の真っ白な肌が浮かんだ。同じ男とは思えない肌理の細かさに手を伸ばすと、しっとりと吸い付くように僕を誘う。  モジモジとしたのは一瞬で、覚悟を決めたのか抱きついてきた。  「ずっとこうしたかったんです」  顔を持ち上げキスを仕掛けてくる一都のつたなさに僕は応えた。隙間をあけて待つと、小さな舌が滑り込んでくる。さっきまで自身を愛撫していたことを思い出したのか顔を話してほんの少し困った顔をした。口の中に残る青臭さに慄いたのだろう。 「口をゆすいでくるよ。それから一緒にお風呂に入ろう」  一緒にバスルームへと向かいお湯を張っている間に並んで歯を磨いた。大きな鏡の前に並んで立って歯を磨く行為に、近さを感じてクスクスと笑いあう。  一都は僕の浴衣を脱がしたがった。好きなようにさせていると下着一枚になった僕をじっと見つめている。 「やっぱ男でヤダった?」 「ううん。かっこよくて……見惚れちゃう」  視線だけで下着の下にも興味を持っていることが分かったから、グっと指で引っ掛けてずらした。一都は視線を外さないで見つめ続けている。  ストリップをやっている気分で足元までおろすと、はしたないくらい上を向いてしっかりと戦闘態勢になっている。一都が瞬きを繰り返した。  それなりに経験を積んできた僕の性器は一都のように清らかくない。いやらしい色と形も最初はあんなにピュアだったんだろうか? もう遠い昔のことだからわからないけど。  向かい合ったままの僕たちを急かすようにお湯がたまった合図を送ってくる。 「入ろうか」  声をかけると一都は夢から覚めたようにビクリとすくませ、慌てて自分も脱いだ。一都のものもしっかりと萌している。  バスルームは広く清潔だった。後ろから抱きしめながら湯船につかるとちょうどお尻の合間に僕の性器が当たった。ゆっくりと寛げるはずもなくドキドキと高鳴りながらお湯につかった。 「勇吾さん」  膝を抱きながら一都はぼそりと声を漏らした。 「ぼく、今までこういう経験がないんです。呆れないでくださいね」 「呆れないよ」  肩口にキスを落とすとくすぐったそうに身をよじった。 「大切にするから」  振り返る一都にキスをする。お湯で濡れた唇が温まってさらに柔らかさを増していた。チュクチュクと湿った音を立てながら舌を絡めあうと、一都からため息のような声が漏れる。 「勇吾さんのキス、すごく気持ちよくて好き」 「僕も気持ちいいよ」  お湯を揺らしながら肌をまさぐりあう。手を伸ばして小さな乳首を探すとすでにプクっと立ち上がり僕からの刺激を待ちわびているようだった。摘まみ上げてこねると呻くように声を漏らす。 「どう? 痛い?」 「平気……なんだかムズムズします」  ここだけで感じるようにしてあげたい。僕はコリコリと刺激を与え続けた。小さな尖りはやがて膨れ上がりおいしそうな果実へと姿を変えていく。 「あっ、あ、あっ」  グミのように弾力を持たせた果実をつまんで引っ張ると一都はのけぞるように身を震わせた。腰がガクガクと揺れている。 「ねえ、ここ、自分でも触ったことあるでしょう?」  耳に吹き込むと一都はコクコクと頷きを繰り返した。 「勇吾さんに触ってほしいって……想像しながら、あっ」 「やらしい。どんな風に触っていたか教えて?」  快楽に流されて拒むことを忘れた一都は僕の指の間に自らの細い指を差し込み、乳首を刺激し始めた。クネクネとつたない動きで触っているのをじっと見つめる。 「こうやって触ってほしかったんだね」  僕はその動きに倣って反対の胸に手を伸ばした。触れながら耳朶を噛む。 「こんなにやらしい子だって知らなかったな。前も触った? 後ろは?」 「あ、あーっ、さ、触ります、勇吾さん、あっ」  全身を赤く染め快楽に身を揺らす一都は今まで見たどの姿よりも淫らだった。 「見せて」  我慢ができなくなった一都は素直にしがたい、自らをしごき始めた。片手で胸を触りもう反対ではたかぶりを弄っている。バシャバシャとお湯が揺れた。  懇願するように振り返り、キスを求めてくる一都の瞳は情欲に濡れていた。絡めるキスを仕掛けると一都はまもなくブルブルと震えながらお湯の中へと精を吐く。白い体液がお湯の中に漂う。 「可愛い。一都、もっと気持ちよくなろう」  これ以上我慢なんてできなかった。全身を愛してあげたい。気持ちよさにどうにかさせてやりたい。  濡れたままの体を持ち上げベッドへと運ぶと、覆いかぶさった。  何度もキスを繰り返しながら口の中をまさぐった。上あごのザラザラした場所を舐め上げると、ビクリと体がはねた。何度も繰り返すと一都の体から力が抜けていく。だけど触れ合う互いのものがさらに熱を上げていくのはわかった。 「気持ちいいところを教えて?」  糸を引くように口を離すと一都はとろりとした視線を向けた。 「勇吾さんに触られると溶けてしまいそう」  全身に口づけながら痕を残していく。小さく色づく僕のマークを一都はうっとりと見つめていた。 「これがキスマークですか」 「そうだよ。一都は僕のものだよって証」 「うれしい」  チリっという痛みの後に僕の肩口にも赤い印がついた。 「勇吾さんもぼくのものです」 「そうだね。君のものだよ」  こんなに誰かを愛おしくて全部が欲しいと思うことはなかった。一都のすべてを愛したい。  しつこいくらいに弄っていた胸はちょっと触れただけで僕を求めて先端を膨らませる。口に含み、ちゅうっと吸いつくとそのまま飲み込んでしまいたい願望が襲う。グニュグニュと口内で刺激するとさらに大きくなり僕を嬉しがらせた。一都からは細い悲鳴のような声が上がる。 「ダメです……っ、勇吾さん……なんか、変っ……力が、入らなくて、……腰がフワフワする」  無意識に膝を立て欲しがる足の間はすでに先走りが雫をこぼしていた。太ももに垂れる透明がさらに僕をあおる。  ヌルヌルとした体液をこすりつけながら刺激を与えると、一都はさらに声を漏らした。つま先がピンと伸び、行き場を探してシーツを蹴る。  温めたローションをひっそりと閉じる蕾へと垂らした。ビクリとすくむ躰をなだめるように撫でる。 「ここを僕にちょうだい」  痛みが出ないようにじっくりと時間をかけて愛撫する。ゆっくりと開いていくように。クルクルと円を描くようにほぐしていくうちにやがて覚悟を決めたようにふと緩む時が来る。 その時を待つように僕は一都を愛した。 「あ、あっ、あっ……」  いつしか一都は足を開き、欲しがるようにおしりを掲げている。もっと気持ちよくなりたい。その願いを叶えるように指を差し入れこねまわしていく。  抵抗を見せながら陥落していく場所を僕の指が卑猥に行ったり来たりする。 「痛かったら教えてね」  さっきから暴発しかける自身を抑えながら、一都の体を攻略していく。   ふいに一都の全身が汗を吹いた。強くひくつきながら僕の指を飲み込もうとする動きに、やっと見つけたと僕は笑みを浮かべた。 「あーーーーーーっ、あ、あ、あ、」  ガクガクと震えながら一都は怯え、目を見開いている。 「大丈夫。ここが君の気持のいい場所だから。待ってて、今、届くから」  まさぐっていた指を抜くと、ギュっと抱きしめながら性器を咥えこませた。さすがに指と太さが違いすぎて抵抗をみせたけれど、一度快楽を覚えた場所は道を拓いていく。  抜き差しを繰り返しながら挿入した僕を一都が飲み込んでいく。温かく窮屈な一都の中。愛おしさが増して強く抱きしめた。信じられないとばかりに一都もしがみついてくる。 「あ、ああっ、勇吾さんがぼくの中にっ!」 「気持ちいいね。僕たち、ひとつになってるよ」  腕を絡め互いの体をきつく抱きしめあいながら、僕は腰を動かした。小さな輪がいっぱいに開き、僕を受け入れている。ローションだけじゃない湿った音がグチュグチュと結合した場所から漏れ聞こえている。  セックスをして体を一つにつなげている。心も体液も混ざり合い求めあっている。 「好きだよ、一都。可愛い、気持ちいい。大好きだよ」 「あっ、勇吾、さっ、好き。嬉しい、あっ」  一都の目じりから一筋の涙がこぼれこめかみに流れていく。 「痛い?」  しょっぱくて温かい涙を唇でぬぐい取ると、一都はフルフルと首を振った。 「違います。嬉しくて、勇吾さんにこんなに大切にしてもらえて、愛されてるんだなって」  照れたように微笑まれて僕の心臓は痛いくらいに脈を打つ。 「大切にするから、ずっと。約束する」 「はい、」  キスをしながら一都は僕の動きに合わせるように腰を動かした。互いの気持ちよさがかみ合うように二人で作り上げていく行為。  足を抱え込み、深い場所に届くように動くと一都の声がひときわ高くなった。内側もこらえられないように震え始めている。 「一緒に行ってみようか」  探り当てた場所をこするように突き上げると、一都からはさらに声が漏れる。 「あ、あ、あ、」  二人のタイミングが合った瞬間、ビュクビュクと腹の上を温かい体液が散っていく。僕の体液は一都の体が受け止めた。 ホッと息をついた一都に僕は囁いた。 「まだ終わらないけどいい?」  震えている太ももに手をかけてさらに割り開いた。結合した場所が赤くただれたように僕を咥えこんでいるのがよく見えた。汚した体液がコポリと垂れ落ちる。掬い取るようにして広がる輪に塗り込むと、ヒクヒクと動くさまがいじらしい。 「可愛い一都。大好きだよ」   一都と一緒にいるだけで僕の欲望は終わりを知らない。このまま気のすむまま愛させてもらおうと思う。僕は自身を抜かないままもう一度動きを再開した。 夏はまだ終わりを見せない。 Fin 楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。 感想はこちらまで → ノッキ@乃木のき @nokkiny_moji よろしくお願いいたします。

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