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恐怖の玩具遊び?!
翌日の研修から”調教主”と呼ばれる
その道のプロが加わった。
その名は 左門京介。
アシスタントに手嶌さん。
「―― 初めに言っておく、私がお前の担当になった
からには必ず超一級の御職になれるよう仕込んで
やる。任せておけ」
※注! 御職=上級女郎・太夫の事。
現代に置き換えるとすれば、
風俗店の№1の事。
もろ上から目線で”偉そうな奴ぅ”って、
第一印象は決して良いものじゃなかった。
それに加えその俺様調教主は ――、
切れ長の目で俺をまじまじと凝視。
俺はそれだけで、背筋を痛みとも悪寒とも
何とも言えないものが走り抜け、身体が強張る。
そいつの視線から逃げるように顔を俯かせると、
そんな俺の顎をそいつは捉えて持ち上げた。
「素材は悪くないが……」と言って、
俺の目鏡を奪う。
すると手嶌さんが自慢そうに、
「だろ だろ~。なんせ珠姫が御生大事に囲ってた
秘蔵っ子だもんよー」
何の事だか分からない俺は、
奪われた目鏡を取り返そうと手を伸ばしたが、
背の高い調教主・左門が腕を精一杯伸ばしている
ので届かない。
無様にピョンピョンと跳ね、必死に奪い返そうと
しているのを客観的に見たら、
さぞ滑稽なんだろうなと、悲しくなった。
何でこんな目に合わなきゃならないんだろう。
俺が不細工だから?
でも、好きでこんな容姿に生まれたんじゃ
ないのに。
左門と格闘すること数分。
やっと彼が目鏡を返してくれると、
「このレッスンが終わり次第眼科に行って
コンタクトレンズを作って来い。
これは業務命令だ」 と言った。
”何なんだよーっ! 偉そうにっ”
何故に身に付ける物まで指図されなきゃ
いけないのか?!
とも思ったけれど、左門の冷たい目を見ると、
怖くて何も言えなくなる。
そんな俺の心の内など意に介さず、
左門はサイドテーブルから小さな箱を取り上げると
「これを見た事があるか」と俺に尋ねた。
俺が小首を傾げると、
「今時、どんな箱入り男だよ」と、
溜息を吐く左門。
そんなもん知らなかったのが何だってんだ??
大体、んな無地の白い小箱見せられたって、
エスパーじゃあるまいし、中身まで何か判るワケ
ねぇだろ。
多分、”物を知らない=世間知らず”って、
馬鹿にされたんだよね。
あまりにもムカついたから、
左門を思いっきり睨みつけた。
そんな左門に引きかえ、手嶌さんは
「ま、知らないならこれから覚えていけばいい」と
優しい言葉をくれた。
左門がその箱から中の物を取り出した。
それはツルンとしたプラスチック製でちょっと
縦長の楕円形。
そこからコード状の細いケーブルが伸びていて
細めの長方形のプラスチックボックスが付いてる。
サイズ的には掌に載る程、小さな物体 ――
そこまで見せられても、
分からんものは全然分かんない。
「リュウ、お前に任せる」
「オッケー」
手嶌さんは”グふふふふ……”と
口の端を吊り上げ微笑むと、
俺の足元にしゃがみ込んだ。
「んじゃ、ボーヤの拘束は京ちゃんたんとーね」
左門は片隅にある棚から、
黒いベルトの様な物を取り出し、
俺の腕をスチールの棚に固定する。
そして手嶌さんは
「これも御職になる為の試練だから、
悪く思うなよ?」
と言って、俺の顔から目鏡を奪う。
目鏡を外されると視界が墨絵のようにぼんやりして
何がなんだか分からない。
これで勉強になるんだろうか?
そんな事を思っていると、突然、
ファスナーが下ろされる音が聞こえ、
下半身がスースーし始めた。
驚いて下を見ると、履いていたハズのチノパンが
見えない。
その代わりに、その部分は何となく肌色。
そして足元回りには色濃い物体。
こ……これはもしや……。ズボンが?!
「どわっ。 ちょっ――ちょっと待ってっ!
ズボンが……」
俺がそう訴えると、手嶌さんは
「今からの勉強には邪魔だ」と、
こともなげに一蹴してくれる。
え? どう言う事? 何の勉強だ?
って今日初めて会った男の人にパンツ、
見られてるんですけど?!
「うわー……予想通り、色気のねぇ下着だなぁ。
爺くせぇし……」
「それを言っちゃあおしまいよ京ちゃん。
温室育ちの中坊なんてこんなもんでしょ」
男二人が、俺の足元でゴニョゴニョと何かを
言い合っている。
温室育ち? 俺今から何をされるの??
(こえーよぉ。誰か助けてっ!)
俺は心の中で、誰にともなく必死に助けを求める。
勿論、そんなものは気休めでしかない。
「不勉強な新人のボーヤに、カリスマ調教主である俺様
自らが教えてやるのだ。有難く思え」
左門がそう言うと、手嶌さんがあの分からない物体の
ボックス部分に付いてるスイッチを手の中で捻る。
すると何やら振動音が聞こえてきた。
そして俺の右足を掴んで脚を開かせると、
その振動する物を事もあろうか、
俺の大事な部分に押し当てたのだった。
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