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もうすぐ新学期

「いいなぁ、竜も志音も同じクラスで 」 まだ康介はぶつぶつ言ってる。 「でも隣のクラスだしさ、お昼も今まで通り一緒に食べようね」 そう言って康介を慰め、僕らは集会の行われる体育館へと向かった。 まだ春休み中なので、これから新学期を迎えるまでの間の生活態度の事や、新学期が始まってからの予定などの簡単な説明の後に解散となる。 ぼんやりと体育館で先生の話を聞きながら三年生の列の中に周さんがいるか目で探してみた。 周さんは背が高くて大きいから一目でわかるはずだけど、見当たらないということは学校に来ていないんだろう…… 集会は十分そこそこで終わり解散となった。 康介と志音と教室へと戻り、帰宅の準備をしていると修斗さんが廊下から顔を出した。 「あれ? 竜太君、康介は?」 いつも明るくてムードメーカー、そのくせとても気が利いて人の事をよく見ている、楽しいお兄ちゃん的な存在の修斗さん。 お洒落にも敏感で、いつもモデルの志音が褒めるくらいカッコいい修斗さんは康介の大切な恋人だ。 好きな人に対しては鈍感ナイーブな康介は、修斗さんがカッコよくて人気者過ぎるからっていつも心配している。 確かに修斗さんは男女問わず友達が多い。 康介と付き合う前はデートだと言っては色んな人と遊びに行っていたくらいモテモテだった。でも今では修斗さんが康介の事が大好きだって事は見てれば一目瞭然なのに……康介にはそれがわからず、まだ不安らしい。 「修斗さん、康介今トイレです」 そう修斗さんに教えてあげると「サンキュー」と笑顔で消えて行った。 しばらくすると、康介と修斗さんがふざけながら教室に戻ってきた。 「相変わらず仲がいいよね、あの二人……なんかあんなに大っぴらなの、羨ましいや」 志音が二人を見ながらぽつりと呟く。 見てると仲良くふざけてる……というか、また修斗さんにからかわれて康介がプリプリ怒っている感じ。 これは喧嘩ではなくてこの二人のお約束パターンだ。 志音が少し微笑んでこの二人を見つめてる。 志音の大切な人はこの学校の保健医だもんね。しかも、生徒に超人気の保健医。志音自身もモデルのお仕事で色々と気を使うだろうし、ちょっと可哀想だな。 「……志音」 僕が声をかけると、思っていた事が伝わってしまったのか苦笑いされてしまった。 「あは、大丈夫だよ。今日も俺の部屋来てくれるって言ってたし、ちょくちょく会ってるから寂しくはないよ。竜太君は優しいね」 志音に肩をポンと叩かれ、僕らは康介と修斗さんも一緒に学校を出た。 もうすぐ春休みも終わり、新学期が始まる。 僕らの新しい生活が始まるんだ。

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