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怪しい二人
伊織と話したいし……と周さんが言った。
僕がいたらダメなのかな?
周さんの発言に、何だか仲間はずれな感じがしてちょっと嫌だった。
周さんの態度にモヤモヤする。
でもわかってる。これはまた僕の焼きもちだ。
周さんに追い出されるように背中を叩かれ、しょうがないから僕は一人風呂に向かった。
春休み、圭 さんのお見送りをした時以降会えてなかった久しぶりの周さん。
早く周さんに触れたい……
そう思ったら少しドキドキしてきちゃった。
逆上せてしまう前に急いでお風呂から上がり、部屋に戻る。
部屋のドアを開けると、周さんと伊織が顔を寄せ合ってコソコソと何かを話していた。
別にそれだけならなんともなかったんだ。でも僕と目が合うなり慌てて伊織から離れる周さんに、やっぱり少しイラっとしてしまう。
凄く嫌な感じ。
「竜太、風呂早かったな……どうする? 伊織先行く?」
周さんが伊織にそう言って微笑む。伊織の方はなんだかあたふたした様子で、ぎこちなく見えた。
「伊織が先に行ってきて!」
僕はすかさず周さんの隣に座り、伊織に向かってそう言った。
我ながら強い口調になってしまってちょっと焦ったけどどうだっていい。
二人の雰囲気が堪らなく嫌だったんだ。
焼きもち丸出しで恥ずかしかった。
「じゃ、俺先に風呂行ってくるね……周」
伊織が周さんに向かってニコッと笑い部屋から出て行く。視線だけで何か言葉を交わしている様にも見えて複雑な気分だった。
僕は伊織が出て行ったのを確認すると、布団の上で座っている周さんに黙って体を寄せた。
周さんはそんな僕をぎゅっと抱きしめ「やっと竜太に触れた」と耳元で嬉しそうに囁く。なんだよ、僕だって周さんに触れたかったよ。僕がいない所で伊織となに話してたの? なんで僕がきたら慌てて離れたの? 問い詰めたい衝動に駆られたけど、それを聞くことはできなかった。
「………… 」
「ん? どうした? ……竜太」
僕がムスッとしたまま反応しないから、周さんが不思議そうに顔を覗き込んでくる。
どうした? じゃないよ。
僕が不機嫌な理由、本当にわからないのかな?
「……やです。何で周さん、伊織と仲がいいんですか?」
キョトンとして僕を見る周さん。そしてクスッと呆れた様に笑った。
「別に仲良くねぇよ? むしろいつも伊織の奴、俺に突っかかってくるじゃん、仲悪くね?」
「………… 」
じゃあなんでさっき二人でくっ付いて話してたんだよ……
そう思ってても、口に出してそれを言えない。自分が我儘言ってるのわかるから。単なるヤキモチ。こんなこと言ったって周さんが困るだけ。
「あれぇ? あれあれぇ?……もしかして竜太、焼きもち妬いて怒ってるの?」
周さんが嬉しそうに僕の顔の目の前まで寄ってくる。
「妬いてません!」
「うそうそ! ほら……口とんがってる。伊織と同じ! ふはっ……そっくり!」
周さんは楽しそうに笑いながら僕に体重をかけてきた。
「ちょっと……周さんっ……んんっ……待って……やめ……っ 」
あっという間に周さんに押し倒されてしまい、周さんの顔が近付く。
もう……ダメ。
ドキドキする……
「竜太……エロい顔になってるよ」
周さんに頬を撫でられ、そのまま周さんの手が髪をかき分けながら耳の後ろまでススッと入ってくる。
「ふ……ん……んっ 」
ゾワッとして吐息が漏れてしまった。
クスクスと笑いながら僕の体を弄る周さんは、きっと僕の事を揶揄っているんだ。
「周さん……やだ。やめてください………んっ」
周さんが僕のことをじっと見る。僕が「やだ」と言うのが納得いかないといった顔をしているのがわかる。
だって……僕怒ってるし!
それに伊織が戻ってきちゃったら大変だ。
「なんで嫌だって言うんだよ? ……まだキスしてないよ 」
もう……そんな顔して見ないでよ。
怒ってたのが、どうでもよくなってしまうじゃん。
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