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休みの予定

屋上に行くと、既に周さんと修斗さんがお昼を食べていた。 周さんは僕の姿を見ると笑顔で僕に手を振ってくれる。そんな僕はいつもの定位置、周さんの横に座った。 お弁当を広げると周さんが僕の手元を覗き込んでくる。 「今日は竜太の弁当?」 「ううん、今日は母さんの作ったお弁当です」 時間に余裕がある時は、僕は自分でお弁当を作る。前までは料理なんて全く出来なかったけど、周さんのために料理を始めたらすっかりハマってしまったんだ。 そして周さんは、僕の作った卵焼きが大好きだと言ってくれる。 「周さん、僕のお弁当食べたいですか? 今度作ってきますね」 そう言うと周さんは嬉しそうに頷いた。 周さんが喜んでくれると僕も嬉しくて、うきうきしてくる。きっと料理にハマったのはこうやって好きな人が喜んでくれるから…… 僕らの会話をにこにこして聞いていた修斗さんが突然声を上げた。 「ねえ! 今さぁ、桜咲いてんじゃん? 今度の休みにみんなで花見しようよ」 修斗さんの言う通り、今この辺りでは桜が満開。 多分今週末くらいがピークで、お花見するなら今度のお休みが最後のチャンスかもしれない。 だからそんな修斗さんのひと言で、次の休みはみんなでお花見に行く事に決まった。 「志音も来るかな? 陽介さんは? 声掛けてみてもいいですか?」 もちろん大勢の方が楽しいだろ? って事で、僕と康介はお昼を済ませて早めに保健室へと向かった。 保健室に入ると先生は机に向かっていて、志音はベッドに腰掛けていた。 「あれ? どうしたの? もうじき昼休み終わるよ」 保健医の高坂先生がコーヒーを飲みながら、僕らを見て笑顔を見せる。 「いや、僕ら志音に用が……あと、先生にも」 先生と志音が揃って小首を傾げた。 「今度のお休み、みんなでお花見に行くんだけど、志音もどう?……もしよかったら、その……先生も一緒に」 パアッと顔を綻ばせた志音が先生の顔を伺い見る。 「みんなで……って、橘とか修斗くんも? 君達と一緒に行ったら僕、酒が飲めないじゃん」 そう言って先生は笑った。 「それにさ……その日、知り合いからも花見誘われてんだよ、勿論志音も一緒に。どうする? 志音は友達と一緒の方が楽しいかな?」 先生は志音の方へ向き返事を待った。 「え……知り合いって、悠さん? え……と、俺…… 」 志音はどうしようといった顔で僕と先生の顔を交互に見た。 「あ、志音ごめんな。そうだよな、そんな言い方したら迷うよな……竜太くんたちはどこで花見するの? あの駅寄りの大きな公園かな?」 「あ、多分そうです」 「なら向こうで落ち合う事もできるよね? 志音は僕と一緒においで。竜太くんたちと向こうで落ち合ったら一緒にいるといいよ」 先生が志音に向かってそう言うと、少し照れたように志音が頷いた。 なぜだか康介も赤い顔をして聞いている…… 「うん、俺先生と花見行く……竜太君誘ってくれてありがと。向こうで会えたら……ね」 教室に戻ると、康介が小声で僕の耳元でこそっと話した。 「さっきの高坂先生さ、志音に向かって凄い優しい顔してたな……なんか恋人同士って感じ。先生の格好良さ二割り増しに見えて、なんだか俺まで照れちゃったよ」 二割り増し…… さっき康介まで顔赤くしてたのはそれが理由か。 確かに志音は自分と来いって言う先生の志音を見つめる視線が優しくて、なんだか素敵な雰囲気だった。 今まで見たことのない二人の表情が新鮮だったな。

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