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イチャイチャ

キョロキョロしながら歩いていると、あちこちから甘い匂いが漂ってくる。 「なんかいい匂い……」 僕が呟くとすぐに周さんが気がついてくれて、匂いの元へと連れて行ってくれた。 「食べる? 食べながら何乗るか決めよっか。あと昼頃にランチする場所は決まってるからね。もう予約してあるんだ」 ちょっとドヤ顔の周さん。 凄い…… 僕が知らない間に色々と手配してくれてるんだ。 「ありがとう周さん」 僕はチュロスを買って、初めての味を堪能した。 あまりにも満足そうな顔をしていたらしく周さんに笑われたけど、楽しそうな周さんを見てさらに僕は笑顔になった。 どれもこれも大勢の人が並んでいて待ち時間が凄い。 でもあまりの人の多さと開放感からか、周さんが僕の手を繋いでくれたり後ろから抱きついてくれたり、僕の方が恥ずかしくなるほどイチャイチャしてくれる。だから長い待ち時間もちっとも苦じゃなかった。 今度もまた周さんとアトラクションに並び中。 「僕、怖いの嫌なんですけど…… 」 僕はお化け屋敷みたいな怖いやつは苦手。 学校の文化祭レベルのお化け屋敷でさえパニックになってしまうくらいだ。 「大丈夫だって、お化け屋敷じゃねえし。俺と一緒なら平気だろ?」 少しバカにした感じで、僕を後ろから抱え込んでる周さんがそう言って笑う。 うん……確かに周さんと一緒なら少しは心強いけど、苦手なものは苦手だからあまり気が乗らないのは事実。 「でもほんと、怖くねえから安心しろ」 僕の首筋に顔をぐりぐりと埋める周さん。ちょっと嬉しいけど恥ずかしかった。 あっという間に順番が来て、僕らは二人で乗り込む。 僕が思っていたのと違って、二人乗りのゴンドラで暗い建物内をゆっくりと進んで行く。とくにスピードが出るわけでもなく、まわりでゴーストたちがフワフワしてる中を進んで行くだけ。 ……なんだ、怖くない。 てか、周さんと密着でドキドキする。 このゴンドラ、ひとつひとつが独立して進んで行くし頭上まで覆われてるから他のゴンドラからは見えないんだよね。 わかってるのかどうなのか…… 周さんは二人っきりの時のように僕の肩を抱いてくれてる。 「周さん? あんまりくっついてると…… 」 「いや、誰も見てねぇし。あ、竜太こっち向いて」 周さんに呼ばれ顔を向けると、グイッと顎を掴まれキスをされた。 「んっ……!」 慌てて周さんから逃れ、手をぎゅっと握った。 「もう! ドキドキしちゃうからやめてください」 慌てる僕を見て悪戯っぽく笑う周さん。 「そうだな、俺もドキドキしちゃうな」 ドキドキしちゃうと言いながら、周さんは僕から離れてしまった。 それはそれでちょっと寂しいから「いや、ここでだけ」とそう言って僕は周さんの頬に軽くキスをし、腕を組んだ。 暗がりの中、まわりでフワフワしているゴースト達なんか目もくれず、僕は周さんと二人の世界を楽しんだ。

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