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一か月も前から……
「そろそろ時間だな…… 」
そう言った周さんに連れられて、今度はレストランの前まで来た。
店内に入り案内されたテーブルにつくと、嬉しそうに周さんが僕の顔を見て笑う。
「竜太絶対喜ぶぞ!」
周さんがそう言っていた通りショーが始まって僕は大興奮。
ここはランチを食べながらショーも楽しめるレストランだった。
「凄いね! 周さん! 僕食事どころじゃないよ!」
お馴染みのキャラクター達がショーをしてくれるのはもちろんのこと、気がついたらテーブルにも来てくれて写真を一緒に撮ってくれる。
僕らのテーブルにも、次から次へとキャラクターが来てくれて、沢山写真を撮ってもらった。
周さんがキャラクターに抱きついて写真を撮ったのには少しだけヤキモチやいちゃったけど……ランチもどれも美味しいし、周さんもずっと笑いっぱなしだし、凄い楽しかった!
最後に記念のカードも貰った。
日付も入ってて、素敵な想い出の品になりそうだね。
「頑張って予約した甲斐があったな」
周さんが僕を見てポツリと呟く。
「一ヶ月も前から予約してたんだぞ。スゲェだろ?」
「え? 一ヶ月も? ありがとうございます!」
いつも適当な周さんなのに、そんなに前からこんなに素敵なことを計画してくれてたなんて信じられない。
でも……急になんでかな?
「でもなんで急にここに来ようって思ったんですか?」
僕らは食事を終え、また次のお目当てのアトラクションへ移動している。その時なんとなしにそう聞いてみた。
「ん? なんでだろうなぁ。ふふっ……わかんねぇか。後で教えてやるよ」
「………?」
よくわからないけど、周さんが可愛いからいいや。
僕らは幾つかのアトラクションを楽しんでから、ちょっと疲れたので休憩をすることにした。
「それにしても竜太、よく食うなぁ」
「はい! 楽しいし美味しいし……周さん優しいし。はい、あ〜ん」
ポップコーンを頬張りながら僕は周さんの口にも放ってあげる。
あまりにも楽しくてちょっと調子に乗っちゃった。
「竜太大丈夫か? ……疲れた? 元気無くね?」
周さんが僕の顔を覗き込んでくる。
「ん? 大丈夫ですよ……」
「そか? 今度はパレードだからな」
可愛いキャラクターのポップコーンのバケツを首から提げながら周りを見てみると、パレードの時間が近づいているからか人で溢れかえっている。
ぼんやりしていると周さんとはぐれちゃいそうで、ちょっと怖い。
僕は一歩前を行く周さんの服の裾をキュッと掴む。
陽も落ちてきて、少しずつあたりも薄暗くなってきた。
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