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こちらも再会

「よし! よかった、やっぱりこっちはまだ人は少ねえな……ほら竜太、こっちこっち」 俺は目星をつけていたとっておきの場所に到着して、しかもそこがまだ空いていた事に気分良く振り返る。 人混みが苦手な竜太。 俺は手を繋ぎたかったけど、恥ずかしいのか竜太は俺の服の裾を握ってちょこちょことついて来る。それがまた可愛くてしょうがなかった。 目的地に到着。 気分良く振り返ったそこには、竜太が立っているはずだった。 でも、振り返ってもそこには竜太の姿はない。 なんでだ? あれ? 「竜太………?」 俺の服、掴んでたよな? 「竜太……!」 近くにいるはず。 「竜太……!! 」 嘘だろ? おい…… どこまで見ても竜太の姿を確認することが出来ず、背筋がゾッとする。 ずっと俺の後ろをついてきてたんじゃねぇのか? はぐれた?? いつから?? こんな事なら竜太と手を繋いどきゃよかった。 心臓がバクバクしてきた。 ……竜太、心細いだろうな。 はぐれてどのくらい経つんだ? どうする? あ……電話! そうだよ、竜太に電話すりゃいいんだ。 落ち着け俺。落ち着け…… 俺はポケットの中、カバンの中、慌てて震える手で必死に探したけど、携帯はどこにもなかった。信じられないこの事実。 マジかよ! 家に忘れた? 最悪だ! 一気に絶望感に襲われる。はぐれてしまった竜太との連絡手段がどうしたって俺には思い浮かばない。 「はっ! ……探しに行くか? あぁでもすれ違っちゃうかもしれないし……うぅ……マジかよどうする? 俺…… 」 焦りともどかしさでその場できょろきょろしていると、突然誰かに背中を叩かれた。それが結構な力で、ムカついて振り返るとツンとした顔で俺を睨む小柄な男が俺のことを見上げていた。 「ちょっと! さっきから呼んでるんですけど!」 ん……? え? 何で? 「なにボサッとしてるんですか? さっきから一人でブツブツうろうろ……周さん、こんな所で会うなんてびっくりですね」 俺を見てニッコリと笑顔になったその男は、春馬だった。 春馬は以前知り合った俳優、周防恭介のツレ……恋人だって聞いたけど、本当かな? 小柄と言っても竜太とさほど変わらない体格で可愛い顔をしている。 ……気は強そうだけどな。 そしてスイーツ好きだときたもんだから、すぐに竜太と気が合って意気投合。あまり会う機会もないけど、恭介と春馬には仲良くしてもらってる。 「どうでもいいけど、周さん……その帽子、ふふっ……凄い目立ってるんですけど。周さんらしくなくて可愛い 」 春馬は俺の頭を見上げてクスクスと笑ってる。 あ…… 「おい、それどころじゃねーんだよ! 竜太! 竜太がどっか行っちまって困ってるんだ! 俺、携帯忘れて持ってねぇし……どうしよう」 俺は春馬との再会を喜ぶ前に竜太の事で頭がいっぱいいっぱい。 思わず目の前の春馬の腕を掴んで縋ってしまった。

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