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ちょっと寄り道
ベンチに腰掛け恭介さんが戻るのを待つ──
ちょっと心細いけど、大丈夫。
周さんは春馬君と一緒にいることもわかったし。
それにしてもこんな時に靴擦れなんてみっともない……
恭介さんに迷惑かけちゃったな。
申し訳ない……
「お待たせっ。浮かない顔してどうした? 絆創膏もらえたからとりあえず貼っとくか」
僕の頭を優しくぽんぽんしながら恭介さんが笑いかけてくれる。
たまたますぐそこのお店のキャストが私物の絆創膏を持っていたから、応急処置にと言ってくれたらしい。
「絆創膏貼れば少しは歩きやすくなるだろ? 絆創膏くれたけど医務室行けってさ。ちゃんと消毒してもらおう。医務室もすぐそこにあるから。ほら……足、見せてみ」
恭介さんはまた僕の前に跪いて手早く絆創膏を貼ってくれた。
……何から何まで。
「ごめんなさい」
申し訳なさでいっぱいになり、僕は恭介さんに頭を下げる。
「はぁ? 何謝ってんだ?……そんなの気にすんなって。早く春馬と周のとこ行くぞ」
脇をガッと掴まれ、立たされる。そして恭介さんに抱えられるように歩き出した。
僕に気を使ってだと思うんだけど、恭介さんに肩を抱かれて歩くのはどうも歩きにくい。それに、まんま周防恭介その人が男の肩を抱いて歩いてる姿に、すれ違う人がみんな振り返る。ちょっとこれは目立ちすぎなのでは?
「あ、あの……僕、大丈夫です。ありがとうございます。えっと……一人で歩けますので」
オドオドしちゃったけど、恭介さんの腕から少し離れて自分で足を進めた。
すぐに医務室に到着し、丁寧に消毒をしてもらい手当を済ませる。
「よかったな。これで安心だ」
そう言って恭介さんが笑ってくれた。
「あ! そうだ、竜太君ちょっと付き合ってくんない?」
突然そう言って恭介さんは僕の腕を取り逆方向へと歩き出すから、僕も慌ててついて行くと恭介さんは近くのお店に入っていった。
なんだろ?……買い物?
「竜太君こっち! ちょっとこれ……どうかな? 」
僕の頭の上から帽子を剥ぎ取り、棚から耳付きカチューシャを取っては次から次へと僕の頭に装着する。
「え……ちょっと……なんですか? 恭介さん?」
にこにことご機嫌な恭介さんが、さっき取られた僕の帽子をまたかぶせてくれる。
「竜太君の帽子が可愛かったからさ、春馬にも何かかぶせたくなった。……どれがいいかなって思って」
少し恥ずかしそうな顔でそう言った。
なるほどね。
春馬君、こういうの似合いそう。
「なぁ、これなんかどうかな?」
「ふふっ……可愛い! 春馬君似合いそうですね」
僕らは春馬君にかぶせるカチューシャを購入してから、二人の待つ場所へと戻った。
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