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心配事かな?
お袋が教えてくれたレストラン。ここならお洒落でちょっとカジュアルだから、少しおめかししてニ人で行ってみるといいよって。スイーツも美味しくて有名だから竜太も絶対喜ぶって言うから、早速予約をした。
夢の国デートもちょっとハプニングがあったけど、結果オーライ。
幻想的なパレード……
迂闊にも感動して泣きそうになってしまった。
竜太を後ろから抱いていたから、情けない顔を見られずに済んだけど。俺、きっと竜太と付き合うようになってから感情が豊かになったんだと思う。
周りが騒がしかったし、恥ずかしいから竜太の耳元で囁いた。
こんな俺と付き合ってくれて本当にありがとう……これからもずっと一緒にいてくれ。出来るだけ気持ちを込めて竜太に伝えた。
ちゃんと聞こえたかな?
俺のそんな思いを吹き飛ばすように、満面の笑みで振り返り俺を見つめる竜太。
「はい、勿論です! 周さんも僕のそばにずっといてくださいね……大好きです」
大好き……
反則! そんな可愛い顔してサラッと大好きって言えちゃう竜太。そんな素直にものを言える竜太がやっぱり大好きだと思った。
俺、この笑顔が見られるなら何もいらねえや。
いや、大袈裟じゃなくて本当に。
それくらい大好きで大事な存在。
俺はきっともう、竜太がいなくちゃ生きていけないんだろうなって思った。
食事している最中、ちょっと竜太の様子がおかしくなった。
俺と違って竜太は頭もいいし色々と考えてしまう傾向にあるのは今まで付き合ってきてもう既にわかっている事。
でも、上の空でもちゃんと食べ物は口に運んでいる。
ぼんやりと何かを考えながら、もぐもぐと料理を頬張ってる竜太。
そんな竜太がちょっと小動物っぽくて可愛くて、俺はしばらく見つめてしまった。
……?
でもすぐに、そんな竜太の表情が微妙に変化した。
なんだよ……
なんでそんなに泣きそうな顔してんだ?
「竜太?……どうした? 口に合わなかった?」
慌てて無意識な竜太に声をかける。
ハッとした顔で俺を見た竜太は、ちょっとボーッとしちゃいました…なんて言い、何かを誤魔化した。
何を考えてたんだろう?
気になったけど、それからは何事もなかったかのように振る舞う竜太に合わせ、俺はこれ以上聞かないようにした。
食事を終え、外に出て歩き始めるもやっぱりまたうわの空。
「竜太、なんか元気ない……疲れちゃった?」
きっと疲れたとかそういった理由じゃないよな。
「……はい。ちょっと疲れちゃった……かも」
そんな事ないって言うかと思ったら、疲れちゃったってはっきり言う竜太。
……そっか。靴擦れもしてるし、もしかしたら本当に朝からしんどかったのかもしれない。
「ごめんな、朝からずっと遊びっぱなしだったもんな。足も……痛いよな」
「いや! 足、大丈夫です! ごめんなさい周さん。僕……なんでもないです」
今度は慌てて否定する竜太。
……やっぱりちょっとおかしい。
心配事かな?
俺は竜太の肩を抱き寄せる。
竜太の体がビクッと少し緊張したのが伝わった。
「早くホテル行ってゆっくり休もう…」
竜太を見つめてそう言うと、小さくコクんと頷いた。
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