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好き過ぎて不安

いつも利用するホテルに到着する。 周さんにニ回も「どうした?」って聞かれてしまった。 きっと顔に出ちゃってたんだ…… 大事な記念日なのに、変な心配させちゃった。 部屋に入るなり、周さんがいそいそとバスルームへ行き湯船にお湯を張ってくれた。僕が疲れているか足が痛いか、きっとそんな風に思って気を遣ってくれているんだ。 「あ……足、しみるから嫌か? 痛そうだもんな…… 」 ソファに腰掛ける僕に向かってそう言って痛そうな顔をする周さん。そんな心配してくれなくてももう全然大丈夫。 「いや、大丈夫です……僕、しょっ中怪我してるんで慣れてます」 慣れてる……って言うのもなんだか情けない話だな。 周さん、どうしたんだろう? さっきからソワソワと落ち着きなく見えるんだけど…… 「周さん?」 僕が声をかけると「ん?」と僕の顔を見る。 「こっち来てください……」 周さんに触れたいのに… なかなか僕のそばに来てくれなくてもどかしかった。 「……隣、座ってもいいか?」 「……?」 そんなのいいに決まってる。 「なんで? 周さん早く……来てください」 ソファに座ったまま、周さんに向かって両手を広げた。 ゆっくりと近づいてきた周さんは、僕の横に座るなりフワッと両手で僕の事を抱き込んだ。 「……? 周さん?」 すっぽりと抱えられて周さんの顔が見えない。 「竜太……何か不安か? ……心配事か? お前が不安そうな顔してるとよ……俺もなんかしんどい。一人で考え込まないで俺にもちゃんと話せ」 ギュッと抱きしめられ、周さんの言葉に一気に瞼が熱くなってしまった。 うわ……僕、最悪だ。 「ごめんなさい。僕……周さんと一周年で記念の日なのに……バカな事ばかり考えてしまって……周さんに言ったら絶対呆れられちゃう」 恐る恐る視線を上げ、周さんの表情を盗み見る。 「いいよそんなの気にするな。俺に話せ……」 真剣な周さんの顔にキュンとしてしまい、そのまま首に手をかけ僕はキスをしてしまった。 「んっ……」 「あ……すみません」 急に恥ずかしくなり、周さんの胸に顔を埋めた。 「僕、好きすぎて……怖いんです。周さんが卒業しちゃったら……学校に周さんがいないんだって思ったら……寂しくて寂しくて……はは……おかしいでしょ? 今からそんなこと考えて、僕ってば寂しくてしょうがなくなっちゃってるんです。まだ先のことなのに……呆れますよね? ごめんなさい」 「………… 」 周さんは何も言わず僕の事をジッと見下ろす。 その表情を見ても周さんの感情が読み取れなかった。 「周さん?」 「うん……俺はここにいるよ。まだ俺ら進級したばっかじゃねえか。今からそんなんでどうすんだ? 大丈夫……ちゃんと側にいるから」 そう言って周さんは僕の頬に手を添えて優しくキスをしてくれた。 ……今、絶対周さん呆れたよね。 うわぁ、恥ずかしい。 しっかりしなきゃな、僕。

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