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アパート

中学三年のある日、いつものように呼び出された俺らはまた双子のアパートへと出向いた。 いつもは仲間も数人一緒にいて、そこにいる皆でどこかへ出掛けていた。でも今回は双子しかいなかった。 双子の名前は航輝と海成。 どっちがどっちかは、全く同じ顔だからわからない。 「今日は俺らだけだから、楽にしな……」 航輝だか海成だかがそう言って、俺ら三人を部屋に招き入れた。 この日は気持ち悪いくらい機嫌が良くて、ジュースやお菓子なんかも用意していた。いつもの二人も何だか落ち着かないようで、口数も少なかった。勿論俺も落ち着かない……いつ突然キレて暴力を振るってくるかわからなかったから、警戒心だけはどうしたって解けなかった。 しばらくの間、航輝と海成が楽しげにお喋りをして、急に時計を見たかと思ったら「もう帰っていいぞ」と俺らに言った。内心ホッとして立ち上がろうとすると、腕を掴まれ俺だけ残るように言われてしまった。 二人はそそくさと帰って行き、俺だけその場に残される。 ずっと座っていて急に立ち上がったから…… 急に腕を掴まれたから…… だからフラつくのかと思ったんだけど、どうやらそうじゃないらしい。 ……気持ち悪いくらい目眩がする。 にやけ顏をした双子が俺に近付いて頬に手を添える。バカにされたように感じてその手を振り払おうとするも、俺は上手く手が動かせなかった。 その後双子が言った言葉に俺は頭が混乱する。俺を見て、頬を痛いくらい掴み、俺の事を可愛いと言う…… 「怖くねぇから、優しくするから……」 そしてそのまま押し倒され、無理矢理唇を奪われた。 全く意味がわからなかった。 押さえつけられ、目眩がしてるのもあり思うように体が動かせずに俺は奴らのされるがまま…… 重なる唇。驚き苦しくて口を開ければ強引に舌が捻じ込まれてくる。口の中や自分の舌を乱暴に舐めまわされている気持ち悪い感覚に鳥肌が立った。口内を舐りながら体中を弄られ始め、初めて俺は自分の状況を把握した。 目眩はおさまってきたものの、今度は体が熱くて息が上がる…… 双子の一人に腕を拘束され、どんどん服を脱がされていく。直接肌に奴の手が触れた時、信じられない衝撃が体中を襲った。 「あは、可愛い声出るじゃん……」 そう嬉しそうに双子が言うと、一人が奥の部屋から鞄を持って近付いて来た。その間も胸やら腰やらを弄られ、気持ち悪く手が体中を這い回る。 理由はわからないけど、触られるたびに敏感になった体がどうしようもなく跳ねてしまう。ビリビリと敏感になった体は自分の意に反して艶めかしく動いてしまう。 やだ……怖い…… 「やめて」と言いたくても、呂律が回らず上手く喋れなかった。 俺はどうにかして逃げようと、もう一度唇を重ねてくる双子の唇を噛んだ。 瞬間、頭に衝撃── 激痛に一瞬目の前が真っ暗になった。 「生意気に抵抗してんなよ。萎えるだろうが!」 唇から血を流しながら鋭い瞳で俺を睨む。 頬と顎の痛みがじんじんと広がっていき、俺は殴られたんだとわかった。 両手両足を拘束され、そのまま担がれて奥の部屋のベッドへ放り投げられる。 先程の鋭い目つきと殴られた恐怖で、俺はもう抵抗するのをやめてしまった──

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