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祐飛からの呼び出し
俺のせいで祐飛が酷い目にあっている。
祐飛に助けてもらってから、もうとっくに解決していたと思ってたのに……
なんで俺は気付いてやれなかったんだ。
今頃悔やんでも悔やみきれない──
祐飛は優しいから、どんなに辛くても俺のために我慢する。
助けてもらって、いつもの日常に戻って……祐飛の言う事を真に受けて俺はバカみたいだ。
高校は祐飛と同じところに行くつもりだった。
祐飛だって俺と同じところを受けるって言ってたのに、実際は違うところに入学したんだ。
……薄々おかしいって思ってた。
あの時から今まで、ずっと祐飛は俺の身代わりになって苦しい目にあってたなんて、俺は信じたくなかった。
何度か祐飛に会いに行った。
その都度「何でもない。何もない」と言って誤魔化す祐飛。
手首の痣……
首筋に見える小さな痣……
祐飛は俺が気付いてないと思ってるみたいだけど、わかってた。
俺がいくら問い詰めても、行くなと言っても、頑なに何もないって言い続けていた。
俺の大切な親友。
俺が初めて好きになった初恋の人……
俺の想いはもう祐飛に伝わっているけど、祐飛には俺がどれだけ祐飛の事が大切かなんでちっともわかってないんだ。
悔しくて辛くて、胸がはち切れそうだった。
でもそんな俺たちを助けてくれるって言ってくれる人達が現れた。
あんなに頑なだった祐飛も、その先輩達にもう行くなと言われて素直に頷いていた。
先輩達と別れ、祐飛を家まで送っていく。
ちゃんと家に入るのを見届けてから俺は自分の家へと向かった。
どう助けてくれるのかなんてわからないけど、とにかくもう祐飛には奴らの所には行ってほしくなかった。だから行くなと言われ頷いていた祐飛を見て、心底俺は安心したんだ。
それなのに……
それなのに、なんだよこれ!
俺は自分の部屋で、祐飛からのメールを見て怒りが込み上げていた。
怒りで震えながら俺は家を出る。震える指で、連絡先を聞いていた周さんに電話をした。すぐに周さんと修斗さんが来てくれて、事情を聞かれた。
言葉で説明するより祐飛から届いたメッセージを見せた方が早い。 俺は二人に携帯の画面を見せた。
『直樹君、どうしても見せたいものがあるから今からここに来て。待ってるね。祐飛 』
ご丁寧に本文と共に地図が添付されている。
「祐飛が俺の事を直樹君だなんて言うわけないんだ! それに、待ってるね……なんて、絶対これ打ったの祐飛じゃなくて違う人なんだよ! また祐飛は俺に黙ってなんかしてんだ……」
俺は携帯を持つ周さんの腕を掴み、捲し立てた。
ダメだ……俺泣きそう。
なんで祐飛は俺を頼らない?
そんなに俺は頼りないのか?
なんで一人で行っちゃうんだよ。
もう行かないってさっき言っただろうが!
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