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決着

「この地図……修斗、やっぱりあいつらだ」 物凄い形相の周さんが修斗さんにそう言うと、修斗さんも怖い顔をして頷いた。 「直樹君、悪いんだけど君は家で待っててくれるかな? 俺らちょっと行ってくるから…… 」 「……?」 俺は修斗さんの言った事がよくわからなかった。 「はぁ? 何言ってんすか! 祐飛が捕まってんでしょ? 俺が行かなくてどうするんですか!……ちょっと待てよ! おい!……待てってば! ……聞けよ! 俺も行くから!」 まるで俺の事を無視するかのように二人してスタスタと行ってしまい、俺は必死に後をついて行く。 しばらく歩くと古いアパートが見えた。 「………… 」 アパートを前に立ち止まった二人が俺を振り返る。 「直樹、携帯…… 」 周さんが俺の方を睨みながら手を出したので、俺は黙って自分の携帯を差し出した。 なに周さんにビビってんだよ俺…… 周さんの目つきがあまりにも怖くて思わず竦んでしまった。 周さんは俺の携帯で何かを打つと、すぐに一階の端の部屋のドアに入って行ってしまった。 「あそこか!」 俺も続いて部屋に飛び込もうと走り出すと、修斗さんに捕まえられてしまう。 「……? なんだよ! 離せっ! あそこに祐飛いるんだろ? なんで行かないんだよ! 修斗さん? ねぇ! ……なんだよ! 離せっ!」 修斗さん、細くて正直強そうに見えないのに……がっちり掴まれて、俺は全然向こうに行けない。 「離せっ! 助けるんだ! 俺……俺がっ!」 「うるさい! 黙れ!……いいんだ、大丈夫だから。周一人で済むことだから……それにお前は見ない方がいい」 修斗さんが急に悲しそうな顔をしてそう言った。 アパートのドアの向こう側から激しく物がぶつかり合うような音が聞こえ、男の呻き声も聞こえてくる。 そしてしばらくすると静かになった。 「修斗さん……静かになった」 いつの間にか俺は修斗さんから解放されていて、ゆっくりと歩き出す修斗さんの後をついて行く。 ドアの中から周さんがさっきと同じ怖い顔のまま出てきて「大丈夫だ」と俺に言った。 「もう大丈夫だ……もうこいつらに二度と関わるな」 そうひとこと言って、俺の頭をぽんぽんと叩いた。 「……祐飛……祐飛! 祐飛!」 開け放しのドアにオレは飛び込む。 玄関から中まで、部屋中ぐちゃぐちゃだった。家具や物なんかが散乱した中に、二人の男が半裸でボロボロになって気を失い倒れている。窓も締め切られていたのか、血の匂いなのか何なのか、少し淀んだ空気と匂いに気分が悪くなるようだった。 「……祐飛?」 奥の部屋から物音が聞こえ、俺はその部屋へ視線を送る。 目に飛び込んできたのは、怯えた顔でベッドに腰掛けていた祐飛だった。 「祐飛! 祐飛!」 視線が泳ぎ、祐飛が俺の姿を捉えるとぶるぶると震えだした。 「……直樹」 両腕で体を抱え込み震える祐飛に俺は思わず駆け寄り抱き締めた。

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