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夏休み突入

待ちに待った夏休みに突入した。 夏休み前半は、僕は部活とまだ続けている喫茶店でのバイト、周さんもバイトや練習でなかなか二人でゆっくりと会えなかった。 でも旅行当日。周さんとも久々に会える。 僕は荷物の確認をして家を出る。途中康介と落ち合い、みんなの集合場所である志音のマンションへと向かった。 「……竜、荷物多くね?」 「え? そんなことないよ。みんな必要だし」 「………… 」 あれ? 康介の言う通り、僕ちょっと荷物多かったかな? 自分の荷物と康介の荷物を見比べてもやっぱりバッグの大きさから全然違った。 みんなと一緒に遊んだら楽しいかなぁって思って、家にあったゲームとか引っ張り出して持って来ちゃったんだよね。どれも僕にとって必要だったから、まあいいか…… 先生の車だし、少しくらい荷物があっても大丈夫。 「おやつも持って来たから、後でみんなで食べようね」 「……遠足かよっ」 康介に少し呆れられたような顔をされた。でもウキウキと浮かれてる僕にはそんな事どうってことない。 「あ! もうみんな集まってる!」 志音のマンションが見えてくると、入り口に屯する周さんと修斗さん、志音の姿が見えたので嬉しくて僕は小走りで向かった。 「あ、康介! ……って竜太君、荷物デカいね」 嬉しそうにこちらに手を振る修斗さんも、僕の荷物を見てそう呟いた。 「………… 」 程なくしてマンションの前に白いファミリータイプのバンが横付けされた。 運転席の窓が開き高坂先生が顔を出す。荷物を積んで適当に乗り込めと声をかけられ、僕らは荷物を持って乗り込む準備を始めた。 先生、花見の時も思ったんだけど、私服姿と志音に寄り添う姿が凄く新鮮。学校での姿と全然違った。 すっと車から降りてきた先生は、志音が持つ荷物を手伝う。ついでに「何でこんなに持ってきたんだ」と笑いながら僕の荷物も手伝ってくれた。 器用にみんなの荷物を後ろに詰め込むと各々車に乗り込んだ。 「………… 」 「……周さん?」 一番に車に乗り込む周さんは、当たり前のように助手席に座ってた。 「お前は後ろだよ! 何すまして前に座ってんだよ。俺の隣は志音に決まってんだろうが!」 あ……って顔をして周さんが後ろに来た。 もう、周さんってば。何やってんの。 「周ってこういうの天然だよね、笑っちゃう。俺はもちろん康介とお隣さん」 そう言ってはしゃぎながら、修斗さんは康介と腕を組む。順に車に乗りこみ、僕らは賑やかに出発した。 「それにしてもセンセー意外な車乗ってんね」 「あ? 違うよこれ、レンタカーだよ。俺の車全員乗れないし。わざわざ借りたの! 俺は保護者じゃねえから問題起こすなよ。団体行動! ちゃんとしろよ」 先生は不機嫌そうに先生らしく注意する。なんだか話し方もいつもと雰囲気が違ってちょっと戸惑ってしまった。 「先生、なんか無理やりお誘いしちゃって、すみません……」 後ろの席から声をかけると笑顔で振り返る高坂先生。 「いいんだよ竜太くん。俺はそこの三年二人に言ってるの」 「大丈夫だよ。センセー、レンタカーありがとね、安全運転でお願いしまーす」

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