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もうすぐ到着

途中、トイレ休憩でサービスエリアに立ち寄った。 夏休みということもあり、家族連れやらカップルやら結構な人混みだった。みんなと一緒に車から降り、僕は周さんと一緒に売店へ向かって歩き出した。 「そういえばお昼は? どうすんの?」 もう少しすればお昼時。小腹がすいたと騒いでた修斗さんが先生に聞いている。車から降りてすぐに鼻をくすぐる美味しそうな匂い。僕も何か買って食べたくなってしまった。 「あ、もうじき着くんだよ。昼はさ、すぐ近くの川でバーベキューやろうと思ってな。ほら、そこのテントで野菜売ってんだろ? 野菜はそこで買って、肉なんかは近所の肉屋で買ってかないか?」 先生がそう提案をした。 「いいねぇ! 賛成!」 康介も修斗さんと一緒に野菜売り場のテントへ向かった。 ここのサービスエリアでは地元で採れた朝取り野菜を沢山売っている。美味しそうな立派な野菜が沢山並んでいるのに、周さんや康介は肉があれば野菜なんていらないなんて言っている。 まったく……子どもみたい。 「ちゃんと野菜も食べないとお肉あげませんよ」 なんだかお母さんみたいな台詞を言ってしまい、思わず可笑しくて笑ってしまった。 高坂先生と一緒にひと通りの野菜を購入し、その後休憩がてら周さんと遊歩道を散歩した。 遊歩道を少し歩くと景色の開けた綺麗な場所に出る。 風が気持ちいい…… 「やっぱりみんなと一緒、楽しいですね」 並んで歩く周さんに向かって僕は微笑む。 「ん〜、俺は竜太がいればなんでもいいや」 気怠そうな返事。 周さん、どうしたんだろう。 気のせいかな? さっきからちょっと元気がないんだよね…… みんなといる時はそれ程お喋りじゃない周さんだけど、今日はいつもとちょっと様子が違う。でも僕の気のせいかもしれないから、何も聞かずそっとしておく事にした。 少し風に当たっていると、康介が呼びに来る。 「周さん〜! 竜〜! そろそろ出るって」 僕はさりげなく周さんの手を取り、先生の車に戻った。 「……じゃ、出発するぞ。あと少しな」 サービスエリアを出て間も無く、高速道路から車は降りる。 普段の景色とはちょっと違った田舎道。 さっきも感じたけど、僕らが住んでるところより少しだけ涼しくてきっと過ごしやすいんだろうな。ちょっと開いた窓から冷たい風が入ってきていた。 「なんか涼しくて気持ちがいいね」 僕がそう言うと、夜なんかはエアコンもいらないくらい涼しいぞって先生が教えてくれた。 川を横目で見ながら田舎道を進んでいく。 少し行くと観光地らしいお土産屋さんが並ぶ通りに出た。その通りにあるスーパーで、残りの必要な物を買い込んでからまた出発。 土産屋の通りから少し行くと別荘地になり、そのはずれにあるのが先生の別荘だった。 一軒だけ離れた所に建っているから隣近所も気にならないし、何より想像していたよりも広くてびっくりした。

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