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花火の後は
康介たちも合流して僕らは花火を楽しんだ。
僕は花火をこうやって見るのは初めてで、あまりの迫力に驚き言葉が出なかった。
花火ってこんなに大きな音なんだ……
ドーンって上がるたびに、驚いて体がビクってなってしまい、途中でそれに気がついた周さんに笑われてしまった。
康介達が買ってきてくれた焼きそばを分け合って食べる。
「そういえば志音と先生遅いね」
ふと思い出しそう言うと、修斗さんがクスッと笑った。
「きっと俺ら出て行ったから二人でイチャイチャやってんだよ。適当な感じで、行けたら行くわ〜なんてセンセー言ってたから多分来ないと思うよ」
そうか……先生も疲れてるだろうし、志音と二人きりになりたいよね。
花火も終わり、僕らは来た道を戻り別荘に向かう。帰り途中コンビニに寄り、先生と志音のお弁当を買った。
家から出そびれて、なにも食べてないから何か弁当でも買ってきて……と先生から連絡が入ったから。
適当にお弁当二つとお菓子やデザートを買ってから、僕らは先生の別荘に戻った。
「ただいまぁ! ちゃんと服着てる? 大丈夫?」
修斗さんがふざけて先生にそう言うと、先生も「ついさっき着たから大丈夫!」なんて言って笑った。
「志音、花火見られなかったの? 凄かったよ。綺麗で感動しちゃった」
テーブルでお弁当を食べ始めてる志音に聞くと、小さく首を振った。
「ここの二階の寝室からね、凄くよく見えるんだ……花火」
赤い顔をした志音を見て、何があったのか察してしまって僕も恥ずかしくなってしまう。僕は心の中で「ごめんね」と謝った。
「な、志音とゆっくりベッドで見たよ」
そんな僕らに先生は揶揄うような事を言うもんだから、志音がとうとう怒ってしまった。
「もう! 陸也さん、いい加減そういう事言うのやめろよな!」
「あ〜あ、志音君怒っちゃった。センセー言い過ぎ。下品なんだよ」
「うるさいな。修斗くんに言われたくないね」
まるで子どもみたいなケンカ。志音はプイッと先生から離れていった。
「そうそう、センセ、俺らの寝るとこどうすんの?」
突然思い出したように修斗さんがそう言い先生の顔を見る。二階に二部屋と一階のリビングがあるから、リビングで四人で雑魚寝でもいいし、二階と一階に別れてもいいし自由に使えと言われたけど、この部屋決めに修斗さんと周さんが揉め始めてしまった。
「俺と志音は二階の寝室使うし、お前ら後はご自由にどうぞ」
先生たちは勿論二階の寝室を使う。
「俺と竜太が二階使うわ」
「え? 何でそうなる? 俺と康介が二階がいいんだけど」
僕は四人で雑魚寝でもいいんだけどな……
康介の顔を見ると、言いづらそうに「俺も二階の部屋がいい」と言い出した。
「でもなんで志音と先生が優先的に二階の寝室なんだよ!」
周さん……
なんでもなにも当たり前でしょ。先生の別荘なんだもん。
「周さん、そんなの先生の別荘なんだから……」
「そうだぞ、お前らのために前もって志音と掃除までしたんだからその辺は遠慮しとけ。なんでもいいけどジャンケンとかでさっさと決めれば?」
「………… 」
あ! 僕いい事思いついちゃった!
部屋を決めるなら、こんな喧嘩みたいな決め方じゃなくて、楽しまなくちゃ。
僕は自分の荷物のところへ駆け寄り、カバンの中をごそごそと漁った。
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