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それぞれの夜… 志音の思い
いつの間にか俺と先生の話になってしまって、だんだん恥ずかしくなってきたから俺も寝室へ逃げた。
部屋に入ると、先生はベッドで横になり眠ってしまっていた。先に休むと言っていたけど本当に寝てるとは思わなかった。俺は起こさないようにそっとベッドの横に座り込み、先生の寝顔を眺める。
起きてる……?
……いや、寝てるよね。
それもそうだよな。
朝早くからずっと運転だったし、みんなもいたから気を使うよね。
俺のせいで疲れさせちゃった。それなのにつまんない事でまた俺イラついてるしさ。
……ごめんね。
起こしたくないけど、でもやっぱりお喋りしたくて、そっと先生の寝ている隣に腰を下ろした。
………かっこいい顔。
スースーと寝息を立てている先生の顔をじっと見つめる。俺にしか見せない無防備な顔。気配を感じたのかすぐに先生は目を覚ましてしまった。
「……あ、ごめんね。起こしちゃった?」
愛しいその頬に手を添える。
「ん……大丈夫。起きてた」
眠そうな顔をしながら、サラッと嘘をつく先生。
「ふふ……嘘ばっかり。ごめんね、みんなも一緒だし気を使って疲れたんでしょ。寝てていいよ」
お喋りしたいけど、休ませてもあげたいから。
不意に先生に手を捕まえられ、ぐっと引き寄せられた。
突然のことにドキッとしてしまう。一気に縮まったその距離で、先生は突然俺に謝ってきた。
「……さっきはごめんな。冗談言われたり茶化されるの嫌だった? 他の男の体褒めたりしたのも嫌だった?でも俺、本気で言ってるんじゃないからな…」
なんだよ、俺が先に今日の事を謝ろうと思ってたのに、先に謝られちゃった。それにそんなの先生のリップサービスだってちゃんとわかってる。
俺が嫌なのは、他の人から先生が軽く見られるってことなんだよ。昔はどうだったか俺は知らないけど……いや、想像はつくけどさ、学校でもいっつもチャラチャラした事ばっかり言ってるし。
でも先生は俺との事、真剣に悩んでくれた。
歳のことも気にしてるのだって知っている。
ちゃんと先の事も考えてくれて、それでも俺なんかと真面目に付き合ってくれてる。
沢山考えて考えて、お互い支え合って家族になろうとも言ってくれた先生が、何にも知らない奴らに軽く見られるのが嫌なんだ……
俺はそういうキャラなんだし、軽くていい。
そんな風に言って笑う先生。
自分で言わないでよ。
「軽くない! 陸也さんは真面目だよ!」
思わず大きな声で言ってしまい、恥ずかしくなり先生に抱きついてしまった。
「ありがと。志音がちゃんとわかっててくれれば俺はいいよ」
そっと唇に触れるキスをする。そしてそのまま先生に優しく抱きしめられた。
「ん?……陸也さん……陸……あっ……ん………」
抱きしめられたまま、先生の手が俺の体を弄ってくる。さっきエッチなことしたのに、なんだだかスイッチが入っちゃったのか、先生の表情にドキッとする。
「ダメだよ……みんな……んっ、いるのに…… 待って、やらないよ」
慌てて先生の手を押さえるけど、ぜんぜんやめてくれない。
「大丈夫だよ。わかんねえって……逃げんな。早く触らせろよ……」
先生の唇が俺の唇に重なった。
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