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それぞれの夜… 康介の思い
花火大会から帰宅後、風呂に入ったりテレビを見たり……
寝る部屋を決めるのに竜が持ってきたツイスターゲームで勝負した。
これってさ、やってるうちにエロい格好になるんじゃね?
すぐに気がついたけど修斗さんはわかってんのかどうなのか、やりたいってはしゃいでるからやらせてしまった。
案の定、周さんが修斗さんに覆いかぶさるような格好になり、なんだかハラハラしちゃって見ていられなかった。挙げ句の果てに周さんが修斗さんを押し倒しやがって思わずキレそうになった。
周さんだってあれ、絶対竜にやらせたくなくて自分から言い出したんだよ。一回勝負とか言ってさ。俺も強引にでも自分がやればよかった。
何が嫌だってさ、周さんと修斗さん、幼馴染か知らないけど仲がいいんだよ。別にベタベタしてるってわけじゃないんだけど、他人が割り込めない特別な雰囲気をたまに感じる時があるんだ。
修斗さんが周さんのこと信頼しきってるところも俺、悔しかったりするし……ま、これは単なるヤキモチに過ぎないんだけどね。
そんなだから、修斗さんと周さんがお似合いだって思ってしまう自分もなんか嫌なんだ。
情けないな。
そんな事を考えながら、寝る前にみんなで他愛ないお喋りをした。修斗さんは俺にもたれかかるように座って楽しそうにしている。
……やっぱりこの人は俺の恋人なんだ。
修斗さんだってそう思ってるはず。自然に俺に体を預けてくれる修斗さんに安心して、俺はみんなのお喋りに意識を戻した。
そのうち先生は眠たいのか一人でさっさと寝室に行ってしまい、それと同時に志音の恋話に花が咲いた。
学校ではクールでスカしてるけど、先生と付き合ってる事をカミングアウトしてからはなんだか可愛らしくて微笑ましい志音。
もちろん先生と付き合ってるのは俺たちしか知らない。
俺は修斗さんと付き合ってるって言っても、単なる先輩後輩、友達と遊ぶ感覚の延長って感じだけど……大人な先生と志音が付き合ってるって聞くとなんだかちょっとイヤらしく感じてしまう。
デートとかしてんのかな?
二人とも一人暮らしだし、半同棲みたいなのかな?
あ……俺、人の恋愛想像して最低だな。
「あいつチャラいし、志音と結構年離れてんじゃねえの? なんであんなのと付き合ってんの?」
「なんか周さん身も蓋もねぇな! その無神経さにちょっとビックリだよ」
周さんの身も蓋もない言い方にびっくりして思わずそのまま突っ込んだ。それでも志音は怒ることなく、先生の事を話してくれた。
見てるこっちが照れくさくなるくらい、優しい笑顔で話す志音。
……さっきまで先生の軽い言動に怒ってたんじゃないのかな?
ひとしきり惚気話をぶちかましておきながら急に恥ずかしくなったのか、志音は照れながら「おやすみなさい」と言って二階の寝室へ行ってしまった。
志音がいなくなった後、さっきの周さんの言葉を竜が咎める。
竜に怒られ、少しシュンとしちゃってる周さんを修斗さんは楽しそうにからかった。
「周が竜太君に怒られてシュンとしてる」
またここで楽しくなっちゃって話が弾んだらなかなか眠れない。てか俺だって早く修斗さんと二人きりになりたいのに、修斗さん全然二階に行く雰囲気じゃないし。
「もう、修斗さんちょっかい出さないの……俺らもそろそろ寝ましょ?」
少し強引だったけど修斗さんを突っついて、竜と周さんにお休みを言いながら二階へ上がった。
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