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それぞれの夜… 康介の葛藤
二階に上がり、志音達の寝室の隣の部屋に入る。
ここの部屋にはセミダブルのベッドが一つ。テレビまであった。
「康介見て、テレビあるよ」
早速ベッドに飛び乗りリモコンでテレビを付ける修斗さん。
俯せに寝転がり、膝下をプラプラと揺らしながらリモコンでチャンネルを変えまくってる。俺はそんな修斗さんの横に腰掛けた。
……テレビなんてどうでもいいのにな。
「ねえねえ、何見る? なんかお笑いとかやってねえかな?……ん〜、ニュースと天気予報しかやってねえ」
目の前のテレビのチャンネルが物凄い勢いで変わっていく。
「いいよ、テレビなんて。修斗さん……修斗さん、俺の方見てよ……」
修斗さんの横に俺も寝転がり、顔を覗いた。
……ん?
「修斗さん?……ねえ、どうしたんですか? ……ちょっと! 無視しないでよ」
テレビはニュース番組に落ち着き、修斗さんはぼんやりテレビに見入ってる。全然俺の方を向いてくれないから、焦ったくなり修斗さんの耳を軽く食んだ。
「ひ! ちょっと! やめろよ! びっくりすんだろ!」
耳を押さえて俺から飛び退く修斗さん、顔が真っ赤……
意外な反応に驚いたけど、そのまま俺は修斗さんに抱きつき逃さないようにホールドした。
「ちょっと! やめろって! なに? なに? 苦しいよ! 康介離してっ!」
「んん、修斗さん」
俺に羽交い締めにされてる修斗さんがジタバタと暴れてる。
「修斗さんが俺の事無視するからじゃん。なに? どうしたんですか? イチャイチャしねえの?」
「はぁ? しないよ! なんだよ康介のエロちん!」
……なんだよ。
俺に捕まりジタバタしながら胸を叩く修斗さんがちょっと可愛い。
「ねぇ、修斗さん。イチャイチャしようよ」
「なんで康介ってエロいことには積極的なんだよ。ダメだよ……みんないるんだから。節操ないなぁ!」
そう言って修斗さんは俺から離れ、起き上がりベッドに腰掛けた。
別に積極的じゃないし。
せっかく二人になったんだからちょっとくらいいいじゃんか。
「くっつくくらいはいいでしょ?」
隣に座り、俺がそう言うと修斗さんは嬉しそうに俺に寄りかかった。
「………… 」
こういうのはいいのね。
しばらくの間、テレビでニュースを眺めてると修斗さんが振り返ってきた。
「康介、チューだけならいいよ?」
は?……この人はバカなのか?
そんな言い方されて、そんな顔で見られたら、キスだけじゃ済まなくなるのわかんないの? ダメだって言ったの修斗さんじゃん。
目の前にニコニコしながら目を瞑り、俺のキスを待ってる修斗さん……
俺は昂ぶる気持ちをなんとか抑えながら、修斗さんの唇に軽く触れるようなキスをした。
や、やべぇ……やっぱり可愛い。
軽く啄むようなキスを二、三度交わし、チュッとリップ音を立てて修斗さんから少し離れる。
……うん無理。
押し倒して修斗さんを弄りまわしたい衝動に駆られ悶々と耐えていると、修斗さんが俺の膝に手を置いた。
「……なんだよ、康介もっとちゃんとチューしてよ!」
俺の方に体を乗り出し、また顔を近づけてくる修斗さんに、俺の頭の中は軽くパニック。
だから! ダメだと言ったのは修斗さんだぞ!
このまま押し倒して欲望のままに……でも絶対、後で怒られる。
修斗さんが怒っちゃうのは嫌だ……
でもヤリたい……ちんちん痛い。
あ〜もうっ!
修斗さんのバカ!
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