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抱きしめてあげる

荒々しく僕にキスをしてくる周さんに、僕は何も言わず身を委ねる。 唇を重ねたまま、周さんは慌ただしくズボンを脱ぎ僕のベルトにも手をかけた。 「周さん……僕、自分で脱ぎます」 気が焦っているように見える周さんの体をそっと軽く抱きしめてから、僕はゆっくりと服を脱いだ。 「僕はどこにもいきませんよ……」 なんとなくそう言うと、周さんはハッとしたような表情を浮かべて今度は優しく抱きしめてくれた。 「なんかごめん……ちょっと俺イラついてた。あ! 竜太にじゃねえよ、俺自身にだ……」 それからはいつもの周さんに戻ってくれて、二人で一緒にシャワーを浴びる。 「ふふ……周さんちのお風呂場、狭いです」 わざと僕はそう言って周さんに体を寄せた。 「くっついてないと寒いから……」 ボディソープを手で泡立てながら周さんの顔を見上げると、柔らかく笑ってキスをしてくれる。 何を悩んでるのかはわからないけど、僕と一緒の時は気が紛れてくれるといいな。 「んっ……気持ちい……周さん」 ゆっくりと周さんの手が僕の体を弄る。 蠢めく手に、体がビクッと反応してしまう。どこを触られても気持ちがいい。 「竜太、後ろ向いて……」 周さんは僕を壁側に向けさせ、そこに手をついて腰を突き出すように言った。 ゆっくりと探るように、周さんの指が僕のお尻を弄ってくる。 「う……ん、あ……あぁ…… 」 前までも緩々と扱かれて堪らなくなって声が漏れた。 気持ちがいいけど…… だめ、嫌だ…! 「待って……あっ、周さん……僕、部屋……行きたい…… 」 ここじゃ僕は周さんを抱きしめてあげることが出来ないから。 僕を弄り回す周さんの手を何とか押さえて、体の向きを変えた。甘いキスを交わしながら、お互いの体についた泡をシャワーで流す。 元気のない周さんに笑って欲しくて僕は周さんに沢山抱きつき、いつも以上に何度も唇を重ねキスをした。 「ふふ……竜太どうした? 積極的。なんかくすぐってえな」 そう言って照れ笑いをしながら、周さんは僕の頭をワシャワシャと撫でた。 だって周さん、寂しそうな顔をするから…… 部屋に戻り、周さんの部屋でまた僕らは抱き合う。 「周さん、雅さん本当に帰ってこないんですか?……今日はお出かけ?」 二人して裸で……雅さんが帰ってきちゃったら大変だ。 いないから泊まっていけってそう言われたけど、心配でもう一度僕は聞いた。 「あぁ、今夜は帰ってこねえし明日も夕方以降だと思う。気にすんな」 僕をベッドに寝かせ、周さんが僕の上に体を重ねる。僕は周さんの背中に両手をまわし、ギュッと力を込めた。 「周さん……大好き。いっぱいキスして……」 周さんの後頭部に手を添え、自分に引き寄せキスをする。 多分周さんは僕が積極的でちょっと戸惑ってる。驚いたように目を開き、それでもウットリとキスを返してくれた。 僕は身体を起こし、そんな周さんに跨った。 「今日は僕が抱いてあげます。周さんは何もしなくていいよ……」

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