知らない奴と二人で会うなんて嫌だと返事をした。 相手は男同士できちんと話をしたいし、俺には納得をしてもらいたいから、数日一緒に過ごしたい。そうすれば少しはどんな人間かわかってもらえるだろう……と、そういう事らしい。 数日ってどういうことだよ。 俺は会いたくねえって言ってんのに、なんで何日も一緒にいなきゃなんねぇんだ？ でもお袋もそいつも、俺のことを思ってあれこれ言ってきてくれてんだよな……大人なんだし、俺なんか無視して籍入れて勝手に結婚すりゃいいのに、それをしないで俺の意見を尊重する。 やっぱり俺はガキだ。 駄々こねてるみたいでみっともねえと気が付いた。 覚悟を決めて、俺は竜太たちにわからないようにお袋に返信した。 自分が納得してないのに、お袋の再婚の話なんて他の奴には話せない。それにきっと、竜太には俺のこのモヤモヤした気持ちは分からないだろう。そもそもこうやって悩んでること自体、恥ずかしいから言いたくない。 しばらく前から、俺が考え事をしていると竜太が心配そうな顔をする。旅行中も何度も様子を伺うような顔をしていた…… ごめんな……心配かけてるよな？ 上手く誤魔化せない俺に問い詰めるでもなく、見守る姿勢でいてくれている竜太に心の中で感謝した。 旅行中せっかく楽しく過ごしてたのに何度となくお袋からメッセージが届くからいい加減うんざりする。きっとこないだ俺が避けたもんだから、信用がないのだろう。 お袋は俺が帰宅してからも夜勤仕事ですれ違うから、確認のメッセージを何度もよこした。 旅行が終わったら、次の日に再婚相手が一人で俺のこと迎えに来るんだとさ。 とりあえず二泊分の支度はしておけって…… そんなの気が重すぎる。 旅行も終わりみんなで地元に帰ってきて解散になったけど、何となく竜太に甘えていたくて呼び止めてしまった。 理由も話さずに、すでに心配をかけてしまってる。申し訳ない気持ちもあったけど、ダメだった。 どうしても竜太と一緒にいたかったんだ。 気を紛らわしたかった。 二人で俺の家に帰る。 歩きながら、なんだか自分が情けなくなってきてしまった。 考えたくないからってお袋を避けて悲しい顔をさせてしまうし、心配してる竜太にも本心を言うのが恥ずかしくて言えずじまい。 上手く誤魔化すこともできないで、竜太に気を遣わせてしまってる。 本当情けなくてイライラする……