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新学期

夏休みも終わり、新学期がスタートした── 今日もまた、いつものように昼休みに屋上にみんなで集まる。 僕と周さん、康介と修斗さん。今日は志音も一緒だった。 「志音君、また仁奈(にいな)ちゃんとCM出てたね」 修斗さんが楽しそうに志音に聞いてる。 「いや……修斗さん、あれが俺だってよく気がつきましたね。後ろ姿だけなのに」 志音が驚くのも無理はない。 僕もそのCMは知っているけど、志音が出てるなんてちっとも気がつかなかった。 仁奈という女優さんがメインの、化粧品のCM…… 仁奈が見つめる先に映るスーツ姿の男性の後ろ姿。後ろ姿だし、遠くにちょこっと映ってるだけなのに、修斗さんはよく見てるなぁと感心してしまう。 「去年凄え噂になってたのに、また共演しちゃうんだね」 志音が仁奈という女優さんと初めてCMに出たのは清涼飲料水のCMだった。でもその前にも仁奈がイメージモデルの香水のポスターにも志音が起用されていた。お互い半裸でちょっとエッチなんだけど、凄く綺麗でかっこいいポスターだった。色々と意見もあったみたいだけど芸術的だと絶賛する声が多かったと聞く。 顔なんて殆ど出てないポスターだったけど、密会スクープされてからポスターの事もまた取り上げられてしまって、随分と話題になったっけ…… 「ああいう事があるとさ、共演NGとかなんねえの? 結構ちょいちょい共演してね?」 康介が不思議そうに志音に聞く。 「いや、そういう場合もあるけど、俺の場合は仁奈からの指名だから……それにさ、修斗さんみたいによく気がつく人が、俺だって気がついてネットなんかで呟くじゃん? それでまた話題にもなるし、そういうのも狙ってんじゃねぇの?……よくわかんないけどさ」 あんまり関心なさそうな感じで志音がそう言うと、康介が大きく頷いた。 「あぁ、そうだよな。‘ 噂の志音君 ’ だもんな!」 そう言って笑う康介に、志音は小さく溜息を吐いた。 「俺はあんまりテレビの仕事はしたくないんだけどな。あ、そろそろ俺行くね」 お昼を食べ、少しだけお喋りしただけで残りの時間は保健室に行くと言って志音は屋上から出て行った。 「志音も大変そうだよね。最近知らない人から志音の事よく聞かれるもん……まわりの目が気になっちゃうよね」 少し心配になり僕がそう言うと、僕の作ったお弁当を食べていた周さんが面倒臭そうに口を開いた。 「そういう見られる仕事してんだから、しょうがねえんじゃねえの?」 うん…… それはごもっともだけどね。 「先生も心配だろうね……」 小さな声で僕は言った。 「ねえねえ、ところでさ、今年の文化祭はみんなのクラスは何やるの? もう決まった?」 修斗さんがさらっと話題を変える。 そう、もうすぐ文化祭。 今年は僕らのクラスは随分と早い段階でやる事は決まっていた。 ……結構大掛かりだから。 「俺のクラスは、お化け屋敷!」 康介が手を上げて修斗さんに報告する。 確か去年は周さんと修斗さんのクラスでお化け屋敷をやってたっけ。 「………… 」 ちょっと恥ずかしい事を思い出してしまい、僕は顔が熱くなってしまった。 「周さんたちは何やるんですか?」 僕が聞くと、興味がなさそうな顔をして周さんは修斗さんの顔を見る。 「俺らのクラスはね、焼きそば屋さんだよ……でもライブあるから周と俺は店の手伝いはしなくていいんだってさ。楽チンだよね〜」 修斗さんが言った事に、周さんが「ふぅん…」って小さく頷いた。 「もしかして周、何やるか分かってなかった?……手伝わなくていいって言われてたって何やるかくらいは把握しとけよ! お前どんだけだよ」 修斗さんが呆れてそう言うから、思わず笑ってしまった。 「ねえ、竜太君のクラスは何をやるの?」 修斗さんに話を振られ、僕は渋々口を開いた。 これ……あんまり言いたくないんだよな。 でもそのうちバレちゃうんだからしょうがないか。

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