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僕のクラスは……
「僕のクラスは……劇をやるんです。これから何日かかけて撮影をして、文化祭当日に上映会をやるんです」
「へぇ! 凄いね! 面白そう! 演目は何? もう決まってんの? 凄〜い! 楽しみだ!」
凄い楽しそうにノリノリの修斗さん。
周さんは僕の顔をジトッと見てる……
多分僕があんまりこの話をしたくないって思ってるのが、周さんに伝わってしまってるんだ。
「演劇部の人が作った脚本で、刑事物のショートドラマ……みたいな……?」
周さんの目が鋭くてちょっと怖い。
相変わらず修斗さんは体を乗り出して興味津々だし。
どうしよう……
「竜太君は何か役、あるの? 裏方さん?」
修斗さん、これ以上はあんまり突っ込んで聞いて来ないで。
「あの……僕は刑事役……なんです。あ! でもまだ内容とかよくわかってないから……あんまり聞かないでください。ごめんなさい!」
もうこれ以上は言えない。
言いたくないし。
恥ずかしいし……
「え? 凄いじゃん! 竜太君が刑事役だって! 意外! 周聞いた? 見に行かなきゃだね 」
修斗さんに言われ、周さんは「あぁ」と小さく返事をする。何か言いたそうな顔。ていうか、当日は正直言って来ないで欲しいです。
僕はこれ以上突っ込まれないように修斗さんから視線を逸らした。
演劇部の遊佐 君は、刑事物だけど恋愛ドラマだって言ってたから……
たとえお芝居とはいえ、僕は他の人と恋愛なんてしたくない。
「ところで竜太は今日は放課後部活?」
周さんが僕の腰に手を回しながら聞いてきた。
「あ……部活もなんですけど、早速今日から打ち合わせと撮影があって……ごめんなさい。しばらく僕、放課後は忙しいかも」
正直に答えると、少しだけ寂しそうな表情を見せながら「わかった」と周さんは頷いた。
その日の放課後、部室に行きみんなで文化祭で使う看板製作の段取りとデザインを決めていく。
例年通り、一年生は自身の製作を優先して、僕ら二年と三年が中心になって作っていくことになる。
僕だって個人の展示作品もあるし、クラスの撮影も……なんだか本当に忙しくなりそうで今から気が重かった。
周さんが夏休みの間、元気がなかったことも気にかかるし。
これでまたあまり会えなくなっちゃうと機嫌悪くなっちゃうかな。
しばらく会えなくなっちゃうかな……
なんか嫌だな。
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