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竜太の成長
文化祭──
今年で文化祭のステージに立つのは最後だ。
毎年圭さんの学校でもステージやらせてもらっていたけど、圭さんも靖史さんも卒業したから今年の文化祭は俺らの学校でだけ……それに圭さんはもういないから、初めての三人だけでのステージだった。
今までと違い、俺がボーカルもやる。
練習とバイト、おまけに新曲をひとつやるからそれの作詞もしなきゃならなかった。
俺は器用じゃないからこういうのはスラスラとは出来ない。必然的に休み時間に保健室で考えたりバイトのない日は家に篭って考える時間が増えていった。
今日は学校もサボってしまったから竜太とも会う事もなく、竜太も竜太で忙しいのか、俺にちっとも連絡をしてこない。
いい加減ちょっと寂しくなってきたな。
時間を見ると下校時間からだいぶ経ってる。少し遅かったけどもしかしたら部活後竜太が帰る時間と合いそうだとも思ったから、俺は家から出て学校へ向かってみた。
下校途中で会えるといいな……
なんて思って歩いていると、遠くに竜太の姿が見えてきた。
「……え?」
よく見ると、髪型が違う。
今まで見たこともないくらい短くなった竜太の髪。
友達だろうか?
竜太は他の男ニ人と楽しげに歩いていた。
そうだよ、竜太だって友達くらいいるだろう。
俺ら以外の奴らと楽しそうにしている竜太の姿を見て、なんだか少し寂しい気持ちになった俺は、そのまま声をかけずに家に帰った。
竜太のやつ、髪型変えて益々カッコよくなってた……
身長も去年と比べて随分伸びた。本人は気づいてるのかな?
竜太と初めて会った時のことを思い返してみると、凄い変わったと実感する。
他人に興味が持てなかったけど、俺と付き合うようになってからは色々変わる事が出来たって竜太に言われたっけ。確かに付き合い始めの頃と比べると今の竜太は全然違っていた。どんどん成長して男らしくなっていく竜太を見てると、俺は何にも変わってないな、なんて気持ちになってしまい焦るんだ。
心寂しい? 焦燥? ふと何とも言えない気持ちになる。
次の日竜太からメッセージが入ってるのに気がついた。
いつもの他愛ない内容。でも疲れている時に竜太からのほのぼのしたメールを見ると気持ちが癒され元気が出た。
今日は昼休みには竜太と一緒に過ごそう。
お袋の再婚話もまだしてなかったしな……
簡単に竜太に返信をして、俺は学校へ向かった。
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