167 / 377
竜太の誕生日/頼もしい恋人
「可愛い……気持ちいいの?」
俺が聞いても、なぜか手を口に当ててコクコクと頷くだけ。
声、我慢してるのかな? 誰もいないのに……
手を前に回すと、また声を殺して小さく唸る。
「んっ………ふぅっ……ん」
「竜太? 可愛い声聞かせてよ。なんで我慢してんの?」
後ろから耳を食みながら聞くと、竜太はふるふると首を振った。
「だって……あ……んっ……いつ……雅さんが帰って……来るかも……あっ……わからないのに…… 」
……気にしすぎ。
確かによく忘れもんして戻ってくることあるけど……
「なんだよ、お袋なら朝まで帰ってこねえから……ね、そんなに我慢しないで。大丈夫だから」
口を押さえてる竜太の手を掴み、押さえつける。
ベッド脇に用意しておいたローションを片手に取り、竜太の後ろから指を這わせた。
「竜太……ちょっと腰あげて……お尻」
竜太は恥ずかしがりながらも、いつも言う通りにしてくれるから可愛い。
「あ……ん……ひぁっ、周さん……うぅ……や……ん… 」
クチクチと竜太の畝るそこへと指を挿れると、堪まらなそうに枕に顔を埋めた。ちょっと性急かと思いながらももう我慢の限界。滾る自身を竜太のアナルにあてがった。
「竜太……ごめん、もう挿れたい……いい?」
擦り付けるように動かすと、竜太の腰も物欲しげに蠢く。俺は返事を待たずにゆっくりと竜太の中へと挿入した。
「あっ……」
小さく竜太が声を洩らし、堪まらず前に倒れこんだ。
「んんっ……周さん…あっ……あっ… ん…… 」
枕に突っ伏し呻く竜太のうなじに口付けると、耳まで赤くして俺の方を振り返る。
「あ……周さん……キスして……… 」
強請るように目を細め唇を開く竜太に吸い寄せられるようにして、俺はまた唇を重ねた。
最近男らしさが増してきた竜太が、今俺の下で妖艶に喘いでいる。目を潤ませ、声も出さないように必死に耐えながら、それでも快感に抗えずに艶かしい吐息を漏らしている。
「周さん……僕…周さんの方、向きたい……」
竜太が体の向きを変え俺を見上げる。
脱がされかかったスウェットを自ら脱ぎ、俺を下からギュッと抱きしめた。
竜太の方からまた舌を差し出し、俺の腰に足を絡める。たまに見せる積極的な竜太に持ってかれそうになりながらなんとか堪え、何度も何度も俺は奥へと突き挿れた。
「ん……竜太……好き……好き」
「周さん……あ……あぁ……あっ……んっ 」
俺の腕の中で声を漏らす竜太が、時折何か言いたそうに俺を見つめる。ちょっと気になったけど、構わず俺は竜太を抱きしめた。
「あっ、周さん……やっ……僕、も……もう出ちゃう……イッちゃう……うっ……んん」
俺に突かれながら、自分で手を添え緩々と扱く竜太のそこから、トプッと熱が吐き出され、俺も畝りながら絡みつく竜太の中に一気に欲を吐き出した。
俺の腕の中で幸せそうにまた指輪を眺める竜太の頬にそっとキスをする。
そんな俺の顔を見て、竜太はやっぱり何か言いたげな顔をした。
「……なに?」
「え……と、あのね……僕、平気ですから」
「……?」
竜太にしては珍しく言葉が足りない。俺は竜太が何が言いたいのかわからなかった。何か言いにくいことなのだろうか? 竜太がまた話しだすのをじっと待つ。
「あの……もっと嫉妬してくれて大丈夫ですから。独占欲、剥き出しで大丈夫です。僕……嬉しいんです。こんなこと言ったら怒られちゃうかもしれないけど、周さんの頭の中が僕でいっぱいになればいいのに、僕以外考えられないくらいになっちゃえばいいのに……って思っちゃうんです。あ! なんかちょっと引きますよね。ごめんなさい」
……竜太も俺と同じようなこと考えてたんだ。
「だからね、本当にこの指輪嬉しいんです。周さんが気を使って学校に行く時はネックレスに……なんて言ってくれたけど、いいんです。この指輪ちゃんと指に嵌めていたい。だって僕は周さんのものだから……」
竜太は顔を紅潮させて俺の胸に顔を寄せ、そこから上目遣いで見るもんだから照れ臭くて思わず目をそらしてしまった。
「……でも、揶揄われたりすんだろ? 嫌な顔する奴らだっているだろうし。って、あんな事した俺が言うなって話だけどよ」
俺のせいで、俺たちの関係がまわりにバレてしまった。俺はいいんだけど、正直竜太が心配だった。
竜太がおもむろに俺の首筋にチュッと吸い付く。
「んあ? ……おい竜太?」
「へへ、キスマーク付けちゃいました。初めてだけどちゃんと出来た」
嬉しそうに俺の首を指でなぞる。
今までこんな事したことなかったのに……
「周さんに僕のしるし……ふふっ……大好き」
可愛く笑い、またキスをする。
「僕らのことで何か嫌なこと言ってくる奴がいたって、言わせておけばいいんです。僕は気にしませんよ? だから周さんも気にしないでください」
……やっぱり。
竜太、なんだか男らしくなったな。
俺の腕の中にすっぽり入るような可愛らしい竜太がいつのまにか頼もしく感じて、嬉しくなって俺はギュッと抱きしめた。
しばらくいちゃいちゃしてからニ人で風呂に入り、次の日も学校があるからと早めに眠る事にした。
俺の腕枕で静かに寝息をたてて眠る竜太の寝顔を眺める。
もし俺がこのアパートで一人暮らしを始めたら、毎日こうやって一緒にいられるのかな? そんな事を考えていたら、なんだか浮かれてしまった。
この先始まる新しい生活、期待がどんどん膨らんでいった。
俺は竜太がいればきっとどんなことでもやっていけるって、そう思った。
ともだちにシェアしよう!