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本命はやっぱり……
昼休み、屋上で周さんと一緒に過ごす。
誕生日の日から僕の左手の薬指にはめられた指輪を見て、周さんは相変わらず僕のことを心配してくれていた。正直言うと一部のクラスメイトからは嫌な事を言われた。今まで普通に接してくれていたのに、文化祭のあの日を境に口をきかなくなった人もいる。
でもクラスには志音もいるし、康介も今までと変わらず僕の事を気にかけてくれているのがわかるから、そんなのどうって事ない。
だから周さんはそんなに心配しないでいいんだ。
お弁当を食べ終えニ人でのんびりしていると、康介と修斗さんも屋上に来た。康介の手には例のチラシ……
「なぁ、竜これ見た? 祐飛も載ってるよ。これさぁ、この中から選ばれちゃうんだよね?……ヤバイよね?」
不愉快だし興味もなかったから僕は一度もチラシは見ていなかった。だから誰が載ってるかなんて知らなかった。
康介からチラシを受け取り見てみると、一番大きく写っていたのが入江君だった。
メイド服姿でカメラを睨んでる……
「なんで入江君がこんなに大きく写ってるんだよ……」
写真に添えられている説明をよく読んでみると「大本命!」 的な事が書いてあった。キュートなツンデレ入江祐飛君……って。
もうこんなの嫌な予感しかしない。
「去年は竜がこういう風に晒されてたわけ? なんかはっきり言って……カメラ目線な祐飛はともかくとして、他の奴らは隠し撮りだろ? 怖えよな。祐飛大丈夫かな」
僕の横からチラシを覗き込む康介が心配そうな声を出す。
「……ん、そうだね。この感じだと今年は祐飛君に決まりだね」
康介の肩の上に顎を乗っけて修斗さんがボソッと呟いた。
「………… 」
僕は修斗さんと康介、周さんの顔を見る。
周さんは興味なさそうに外方向いてぼんやりしていた。
「ねえ、周さん……」
「嫌だ……」
まだなにも言ってないのに。
康介の方を見ると、修斗さんも康介もにっこりと笑ってくれた。
「祐飛が選ばれたらエントリーすればいいんだろ?」
「うん、僕らの中の誰かなら入江君、不安ないよね。心配じゃないよね?」
僕は一組、康介はニ組、周さんと修斗さんは四組だから、三組だけ勝たせないようにすれば大丈夫。
「おい、周も頑張ろうぜ体育祭。 竜太君がお願いしてるんだよ? ほら高校生活最後の体育祭だしさぁ。ね? やろうよ」
修斗さんが声をかけてくれて、やっと周さんも入江君だったらエントリーしてくれると言ってくれた。
「でも去年ほどは頑張らねえよ、なんも張り合いねえもん」
不満そうな周さんに、僕はお礼の気持ちを込めて頬にチュッとキスをした。
「おぉ!竜太君ってば大胆ね」
修斗さんに笑われた。
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