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参加種目は
ラッキーボーイが決まった次の日から、また去年と同様にジャージ姿の先輩たちが体育祭の練習を始める。
昼休み、放課後、いつ見てもやっぱり違和感。
きっとなにも知らない一年生達も、僕と同じように思ってるんだろうな。
「周さん達は今年は何に出るんですか?」
僕らはとくに練習するわけでもなく、バイトで先に帰った康介を除いて周さんと修斗さんと一緒に下校する。
今日は修斗さんと駅前のケーキ屋さんでお茶するんだ。周さんは渋々ついてきている。
「俺も周も今年も棒倒しに出るよ。リレーはやらない。棒倒しオンリー」
「そうなんですか……」
いや、わかってはいるけど、去年とは全然違うこのやる気の無さ……参加してくれるだけでもありがたいんだ。
「あれ? 竜太君なんか不満そう……だってそりゃそうだよ。去年はラッキーボーイは竜太君だったんだもん、周だって必死にもなるさ。今年は申し訳ないけどあそこまで熱くはなれないからね」
僕の言いたいことがわかった修斗さんが苦笑いでそう言った。
「はい……黄組以外が勝てればそれでいいんで」
そう、エントリーしてくれただけありがたいと思わなきゃ……
ケーキ屋に着くと、真っ先に修斗さんがチョコレートケーキとコーヒーを選んで席に着く。
僕は今日は苺のタルト。
周さんはいらないって言ったけど、コーヒーをもらうためにチーズケーキを選んだ。ひと口ふた口食べたけど、残したから僕が貰う。
「竜太のチーズケーキの方がうまいし……」
コーヒーを啜りながら、周さんが呟いた。
「竜太君は今年も騎馬戦だけ?」
修斗さんに聞かれ、ちょっと困ってしまった。言いにくいな……と思いながら僕は首を振った。
「騎馬戦は……僕今年は出ないんです。その代わり僕も棒倒しに……」
そう言ったら、ぼんやりしていた周さんがガバッと顔を上げて僕を見た。
「はぁ? 竜太が棒倒し??……駄目だ! あぶねえから!」
怖い顔をして僕を睨む。
修斗さんも酷く心配そうに僕を見ている。
「いや……でももう決まっちゃったし。平気ですよ僕。頑張りますから」
「頑張りゃいいってもんじゃねえだろ!」
食い気味で周さんが唸った。
「でも何でまた竜太君が棒倒しなの? 他にもあったでしょ? よりにもよって一番危ないの……」
……やっぱりそうだよね。
今回は種目決めるとき推薦だったんだ。
僕は去年と同じで借り物競争とか、危なくない綱引きとかでいいかなって思ってたんだけど、結構な人数から僕は棒倒しがいいって推薦されてしまった。
正直ちょっと悪意も感じたけど……大丈夫、きっと気のせい。
「そう決まっちゃったんです」
「決まっちゃったって…… 」
「あ! そういえば棒倒しって上半身裸ですよね? ……嫌だなぁ脱ぐの。僕の体、貧弱だから」
「は? 嫌なとこ、そこ?? 」
修斗さんにすかさず突っ込まれた。
その後、家に帰ってからも修斗さんが棒倒しで一番安全に戦える方法を一生懸命教えてくれた。
まぁ、一番安全と言ったって危険なことには変わりないんだけどね。
周さんは終始「棒倒しはやめろ!」と怒っていたけど、決まってしまったのはしょうがないってなんとか納得してもらった。
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