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いよいよ明日は
康介にも棒倒しの話をしたら驚かれた。
「なんで棒倒し? 去年の見たろ? 周さんや修斗さんでさえ怪我すんだぞ? 俺は竜が無事でいられる気がしねえっ! やめとけ、当日休め!」
……酷いな。僕だって男だ。
「心配し過ぎ! 大丈夫だよ。僕だってやろうと思えばできるもん」
「………… 」
「修斗さんにコツ教わってるし、僕はやるよ!」
あまりにもダメダメ言われて少しムキになってしまったけど、逆にやる気が出てきた。
心配してくれてるのはありがたいけどね。僕だってやろうと思えばやれるんだ。
放課後──
「竜太!」
背後からまた真司君が飛びついてくる。
「なに? いちいちくっ付かないの!」
僕は体を捩り真司君から離れる。
「明日の体育祭、頑張ろうな! 棒倒しは俺に任せとけ。竜太のことは俺が守るから!」
……そうだった。真司君も僕と一緒の棒倒しだった。
「別に守ってもらわなくてもいいから」
一緒に帰ろうと煩い真司君をやんわりとかわし、僕は周さんのクラスに向かった。
三年生のフロアに行くと、遠巻きにジロジロ見る人や気さくに僕に声をかけてくる人が以前よりずっと増えたように思う。
「竜太君どうしたの? 橘に用?」
全く知らない先輩がいそいそと周さんを呼んできてくれ、ちょっと不機嫌そうな周さんが僕の方へ来てくれる。
「わざわざここまで来なくても下駄箱で待っててくれりゃいいのに……」
周さんは僕が他の三年生に声をかけられるのが嫌なんだ。
「ごめんなさい。真司君に絡まれちゃってつい周さんのところに逃げてきちゃいました」
そう正直に言うと「ならしょうがねえな」と言って笑ってくれた。
帰りの道中、また周さんから棒倒しの事を言われる。
「本番な、チーム内で攻める奴と守る奴と、乱闘要員なんかざっくり決めると思うけどよ、竜太は守るんじゃなくって乱闘要員にしとけよ。で、始まったらなるだけ外枠の方にいろ。中に入れば入るほど攻め守り関係なく攻撃されっから」
は? 乱闘要員ってなに??
全員乱闘前提なの??
修斗さんもそんな風に言ってたけど……
とりあえず乱闘には加わらないように、中心部から離れてろと周さんに念を押される。でもそれじゃ、参加してる事にならないよね。
「でも、真ん中のところで棒を守ってたほうが安全じゃないですか? 誰かにしがみついてジッとしてればいいんだもん……」
下手に動いて人の少ない外側で目立っているよりずっといいような気もするけど。
「う〜ん、どうなんだ? 康介は? 康介は棒倒しには出ねえの?」
「康介はクラス違うし、確かリレーだけだって言ってました」
「チッ…使えねえな」なんて呟く周さんに、怪我しないように自分でなんとか頑張ると伝えて僕は家に帰った。
……本当みんな心配しすぎなんだって。
とりあえず、ご飯をしっかり食べて……気休めに寝る前に腕立て伏せを五回やった。
いよいよ明日は体育祭だ──
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