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視線
バスルームから出て、僕は周さんを無視してまたベッドに上がる。
さっきつけたテレビがつけっぱなしだったので、そのままゴロンと横になりテレビを見つめた。
周さんは黙ったまま……
でも周さんに見られているとわかる強い視線。そう思うとなんだか胸がじわっと熱くなってしまった。
気配を感じ、振り返ると僕の方に手を伸ばしている周さんと目が合った。
もうっ!
僕はその手をぴしゃりと叩く。
「周さん、触らないでって……そんなに僕に触りたいの?」
周さんが僕を求めてくれるのが嬉しくてそう聞いた。
「僕に触りたい?……エッチな事、したいですか?」
……ドキドキする。
「うん……なぁもういいだろ? 許してよ」
周さんが可愛い顔をして、僕に許してと懇願する。これで少しは懲りたかな? 縋るような周さんの表情にますます嬉しくなってしまい、僕は苛めたくなり調子に乗ってしまった。
「許しませんよ……お仕置きなんですから。周さんはずっとそこで一人で我慢しててください」
僕はベッドに座り直し、わざと着ている寝衣の胸元を開く。膝を立てたらちょっとはイヤらしくて周さんムラムラするかな?
触れたいのに触れられないって辛いよね?
ちょっと恥ずかしいけど、周さんから目線を逸らさずに僕は挑発するように足を開いた。勿論下着は着けてるけど、ここのホテルの寝衣は丈が短いから太腿まで丸見えになる。
……触りたい? まだダメだからね。触らせないんだから。
周さんの熱い視線を感じる。
恥ずかしい……
羞恥に耐えながら、周さんを懲らしめるために僕は挑発を続けた。
でも周さんの力強い視線に、やっぱり心の奥まで見透かされているようで、恥ずかしさで耐えられなくなってくる。
おまけに勝手に息が上がる……
体が熱い……
周さんは僕から目を逸らさない。逸らしてくれない。
僕が周さんを懲らしめてるのに、懲らしめてるはずなのに何で僕の方がこんなにドキドキしてしまうんだろう。
周さんと視線を絡めたまま、僕はまた少し寝衣の肩をはだけさせる。するとずっと僕の瞳を見つめていた周さんの視線がすっと下がった。
「………!」
周さんがニヤッと笑って僕の下半身をジッと見つめる。
……やだ、なんだよこれ、恥ずかしい。
「竜太……」
なんで?
「んっ……やだ…… 」
周さんがまた僕の目を見つめる。触れられてないのに、周さんに触れられてるみたいにゾクゾクする。
「竜太……足閉じんなよ、隠すなよ」
「うっ……や……だ 」
中心に熱が集まるのがわかる。
「どうした? お仕置きなんだろ?……もっと足、開けよ……俺に見せつけてみろよ」
周さんの声に、どうしても体の奥が疼いてしまう。
「や……やです……あ……」
周さんは僕の下半身をジッと見つめ、そのまま顔を上げ射抜くように僕の目を見つめた。いやらしく舌舐めずりした周さんが、ずいっと僕に一歩近づく。
「……俺は触ってねえよ? 触りたいのに我慢させられてる。でも竜太……竜太は何でそんなに勃っちゃってんの?」
そう言って周さんはフッと笑った。
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