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関係ないから……
昼休みになり、志音に声をかけたけど無視をされてしまった。
教室を出て行く志音を慌てて追いかけ、廊下で捕まえる。
「ちょっと!……呼んだのに、聞こえなかった?」
腕を掴み声をかけると、志音は振り返り小さく「ゴメン」と謝った。
その時の顔が、酷く疲れているように見え益々僕は心配になる。
「……ねぇ、本当大丈夫? 具合悪そうだよ?」
小声で志音にそう聞くも、大丈夫だと手を離されてしまった。
「でもそうだな。ちょっと頭痛するし、保健室で休ませてもらってそのまま帰るよ。仕事もあるしね……じゃ、またね竜太君。心配ありがとう」
保健室って……
先生もう戻ってきたのかな?
「志音、高坂先生って…… 」
離れていく後ろ姿に声をかけると、不思議そうな顔をした志音が振り返る。
「あ〜、高坂先生休んでるみたいだね……まだ代理の先生なんじゃないの? 早く戻るといいよね」
え……?
凄いよそよそしい言い方。
あ、でもここは学校だし、先生との事はオープンにできないからああいう答え方になったのかな?
でもさ、あんな顔色悪くて元気のない志音、おかしいよ。
大丈夫……なんかじゃないよね?
志音を見送り、お弁当を持って隣の教室を覗くとすぐに僕に気がついた康介が手を振ってくれた。
「あれ? 竜どうした? ……元気ねぇな。周さんは今日もサボりか。ほら、早く来いよ。飯一緒に食おうぜ」
「………… 」
康介の元気な声に少しだけホッとする。
「ねぇ康介。高坂先生お休みしてるの知ってた?」
そう聞いてみたら、康介はビックリして顔を上げる。
「え? そうなの? 俺あんま保健室行かねえから知らなかった。どうしたの? 風邪?」
「……知らない。代理の先生が保健室にいた」
ふぅ〜ん……と素っ気なく返事をした康介は、購買で買ってきたおにぎりを頬張った。
「そういえばさ! 竜、あのCM見た? 志音の。仁奈の清涼飲料水の第二弾! あの志音はさ〜反則だよな。実際はあんな爽やかボーイじゃねぇっつーの。テレビって怖えな」
そういえばクラスでも少し前に話題に上がっていた気がする。
「僕はまだ見てないや」
「なんか自分の友達がさ、有名人と一緒にテレビ出てんのって凄えよな… …ま、仁奈ばっかで志音なんかちょろっとしか映ってねえけど」
楽しそうに話す康介。
……って、今更?
「ふふっ……康介ってミーハーなの? 今更そんな事言っちゃって面白い」
そう言って笑ったら「ミーハーじゃねえ」って怒っちゃった。
「志音がさ……元気ないんだ。先生の事が関係してるのかわからないけど、なんかね、変なの……僕気になっちゃって」
ぷんぷんしてる康介の顔に近付き、小声で話す。きょとんとした顔をしてから、康介はふっと笑った。
「さっき志音見かけたけどいつもと変わんなかったぞ?……竜 気にしすぎだって。先生休んでんのも珍しいからそう思うんだよ。大丈夫だよ、ほっとけって。気にすんな」
康介にそう言われ、そうなのかな……と考え直す。
とりあえず、昼休みが終わる直前に、保健室で休んでる志音にメッセージを送っておいた。
早く高坂先生戻ってくるといいね……って。
するとすぐに返信が来る。
『そうだね。でも俺にはもう関係ないから』
携帯に届いた予想外のその返事に、僕はどうしたらいいのかわからなかった。
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