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週末は
お風呂場は湯気と熱気も相まって、すぐに気持ちが昂ってしまう。
お互いに熱を吐き出した後も、二人して抱き合いながらキスを続けた。
エッチな気分とはまた別。
ずっと大好きな人と肌を触れ合っていたい……
一時も離れたくない……僕はあなたの事がこんなにも好きなんだ。
そんな気持ちが100%伝わればいいのに。
周さんと舌を絡めながら、僕はそんなことを考えていた。
バスタオルで周さんが体を拭いてくれる。
僕もお返しに周さんの体をタオルで拭く。
一緒に暮らしたら毎日こういう事できるのにな。
同棲するの反対されちゃって残念……
でも、毎日じゃなくても週末は一緒にいられるんだ。それだけでもありがたいと思わなくっちゃね。
僕らは買ってきた食べ物をレンジで温めなおして夕飯にする。
「もう来週にはお袋いなくなるからさ、早速週末は竜太が飯、作りに来てくれよな」
周さんにそう言われ、僕は少し焦ってしまった。
実は週末は僕ら二年生は修学旅行。
「あ……あの、週末は修学旅行があるから……だから、帰ってきたらすぐにここ来ますね。ちょっと遅くなっちゃうかもしれないけど……」
申し訳なく思いながら周さんにそう言うと、あからさまに嫌な顔をされてしまった。
「マジかよ……修学旅行、行っちゃうの?」
「ごめんなさい。僕、楽しみにしてたから」
中学の時の修学旅行は面倒臭いという気持ちしかなかったけど、学校行事だし母さんに行けと言われてしょうがなく行った。
でも今は違う。
友達との思い出作り……行った事のない土地、初めての飛行機。
すごく楽しみにしてたんだ。
「あ! 違う、ごめんな。いいんだ。俺が寂しいっていうだけで、行くなって言ってるわけじゃねえから……夕飯も無理して作らなくていいからさ、疲れんだろ?……でも早く会いたいからすぐ帰って来いよ」
しょんぼりしてしまった僕に、周さんは慌ててそう言い頭をぽんぽんと撫でた。
「はい。お土産買ってきますね」
周さんは僕がいない間寂しいってぶつぶつ言ってる。学校に行っても修学旅行の間は竜太がいないから休むなんて言ってるし、なんだか嬉しい気もするけど困ってしまう。
「ところでさ、修学旅行は誰と同室?」
周さんに聞かれ、僕は志音と真司君だと教えた。
「は? マジかよ! なんで? どっちも竜太に気がある奴じゃんか! 部屋変えろよ!」
部屋を変えろだなんて無茶苦茶言ってるし、どっちも僕に気があるなんてそんなわけない。
「出席簿順で決まったんだからしょうがないです。それに周さん、志音はもうとっくに僕じゃなくて高坂先生がいるでしょ?……真司君は、う……ん、ちょっとボディタッチが多いとは思うけど、別に僕の事が好きだってわけじゃないし。変なこと言わないでください」
「いや、志音は高坂とは別れてんだからさ、傷心で竜太に甘えてきて乗り換えるかもしれねえし……」
は?!
全く! 周さんたらバカなこと言ってる!
「別れてなんかないです! 変なこと言わないでください! 志音は先生のことちゃんと好きなんです……まだ」
ちょっと泣きそうになってしまったら、周さんは謝ってくれた。
「ごめんな。でも心配なんだよ。志音はともかく、真司には気をつけろよ。あんま馴れ馴れしく触らせるなよ」
……心配してくれてるのはわかってるけど。
そんなことを言う周さんはちょっと嫌だった。
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