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翌朝

翌朝、僕と真司君は朝食を食べるために食堂へ向かった。 廊下には他の部屋の生徒たちでいっぱい。みんな眠たそうに歩いている。 昨晩は気まずいかな……と思ったけど、真司君はいつもと変わらず通常運転。ポジティブなのか図太いのか、どっちにしろ安心した。 「なんかさぁ、夜中寒くて何度も目が覚めちった。竜太は大丈夫だった? ちょっと喉痛ぇや……」 「そう?……てか真司君、何にもかけないで大の字でお腹出して寝てるんだもん、あれじゃ風邪ひいちゃうよ? 喉痛いのだって風邪じゃない? やだなぁ、僕にうつさないでよね」 そういえば寝息がうるさくて、夜中真司君の方を見たら寝相の悪さにびっくりしたっけ。掛け布団は落っこちてるわ、足はベッドから落ちてるわで、布団だけでも直してあげようと思ったけど、でも僕も眠いし面倒だったから放っておいたんだ。 笑いながら歩いていると、後ろから康介が声をかけてきた。 「竜……と真司、おはよ!」 康介は朝から元気。うるさいくらい。いつものように寝癖をぴょこんと立ち上げてこちらに向かって走ってくる。 康介と一緒に志音の姿も見えた。 「あ、志音! おはよう!」 先生は朝食時から合流させると言っていたから、志音の姿を見て嬉しくなって僕の方からも駆け寄った。 「え?」 でも見るからに元気のない志音。 「あれ?……まだ具合悪いの? 大丈夫?」 「………… 」 志音と一緒にいた康介が、不満そうに僕に話す。 「いやさっきな、高坂先生に志音はもう大丈夫だから竜のクラスに合流させろって、たまたまあっちで会ったから言われたんだけど……こいつなんかずっと黙ってるし明らかに元気ねえじゃん? 何も言わねーんだよ。熱はなさそうなんだけどさ、俺が引っ張ってやんなきゃ進まねえし。高坂先生は行っちまうし……」 「………… 」 昨晩、先生はもう大丈夫ってそう言っていた。 ……なのになんで志音はこんな顔をしているの? 「志音? 大丈夫?」 歩くのもゆっくりだし、辛そうにしているのが心配。 真司君と康介には先に行っててもらい、僕は志音に付き合ってゆっくりと歩くことにした。 「………… 」 「朝ご飯、ちゃんと食べられる? 熱……はもうないんだよね?」 様子を見ていると、体調不良というよりも精神的な部分で元気がないんだとわかる。 シュンと項垂れている志音の額に手を伸ばすと、ふとその手を志音が掴み顔を上げた。

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