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昨晩の二人/志音の思い
先生の部屋へ連れてこられて、おかげでちゃんと想いを伝える事ができて……今俺は先生のベッドに潜って泣いている。
もうあんな思いは絶対にごめんだ。
先生は俺のせいじゃないから自分を許してやれって言うけど、それはきっと無理だと思う。
先生から逃げたのは事実。
自分が傷つくくらいなら先生の前から消えてしまおうって思ったのは事実だから。
でも、それでも先生は俺を逃さないって言ってくれた。
側にいてくれって願ってくれた。
……嬉しい。
こんな自分を必要としてくれる。
それだけでもう十分だった。
頭がぼーっとする。
本当に少し熱があるらしい。沢山泣いたからか、余計に頭がぼんやりとしていて顔が熱かった。
潜っていた布団から顔だけ出して先生が戻ってきてないか周りを見渡す。夕食の時間だからと出て行ったきり戻ってこなくて、俺は心細くなってしまった。
お腹は空いてない……
早く先生戻ってこないかな。
先程先生に絞められた首筋に触れる。
このまま死ぬんだと思ったら、不思議と恐怖はなかった。苦しかったけど、このまま先生に殺されても構わない。寧ろ先生なら俺を殺した後自分も命を絶ってくれるだろうなとも思ってしまった。そんな必死になってる先生を見て嬉しくなった。
こんな思考、少し怖い……
でもそれだけ俺は先生から離れられなくなっているんだと実感した。
「志音……?」
静かにドアが開き、先生が戻ってくる。
先生の手には、俺のために用意されたであろうお粥を乗せたトレー。
「食えそう?」
俺の寝るベッドに腰掛け、額に優しく手を置く先生。
「ん……いらない。陸也さんがいれば何にもいらない」
額にある手をそっと握り、先生の胸に頭をつけて寄りかかった。
トクトクと伝わる先生の鼓動。
そのまま俺は先生の胸にしがみついた。
「陸也さん……陸也さん」
ずっと先生を避けていたた反動なのか、今は一時も離れたくなくてどうしようもなく甘えたくなる。
……熱のせいかな?
顔を上げると困ったような顔をして先生が俺のことを見下ろしていた。
「志音? 俺はもうどこにも行かないから……とりあえずちょっと離れて、熱、計らせて」
まるで子どもにするように頭をポンポンと軽く叩く。
俺のことを改めてギュッと抱きしめ頬にキスをしてから体温計を差し出した。
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