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昨晩の二人/もう一度抱かれる

狭いベッドの上で、先生に足を掴まれ開かされる。 正直怖い思いで一杯だった。 抱かれたあと、連絡先のメモを渡された時の事が脳裏を過ぎる。 幸せ絶頂な気分から一気に地獄へと落とされる感覚…… あんな思いは二度としたくない。 こんなにも先生を求め、俺だって抱かれたいって思うのに、恐怖心がどうしても拭えなかった。 怖い……と何度も先生に伝えた。 「大丈夫だって言ったろ?……お前の事、忘れたりしないから。ちゃんと……志音の目の前にいるのは俺だから!……信じて。信じて……俺に抱かれろ」 先生を見つめる。 わかってる。もう大丈夫なんだ……信じて大丈夫だよね? もう二度とないよね、あんな事。 サイドテーブルに置いてあるポーチから先生は徐ろにローションとゴムを取り出すから、ちょっと可笑しくて笑ってしまった。 「それ、準備いいね……」 「……うるせ」 少し嬉しそうに笑う先生の笑顔に嬉しくなる。 「志音、俺の事好き?」 「……うん」 「俺も大好きだよ」 「うん」 「ずっと一緒にいような。もう離れないから」 「うん。陸也さん大好き……」 先生はいつも以上に声をかけてくれる。 きっと俺が不安になっているのを和らげようとしてくれてるんだ。 先生の体温に触れて、心も段々暖かくなる。 目の前にいるのは、俺の知ってる先生なんだ…… ゆっくりと丁寧に先生の指が俺の中を掻き回す。 「あ……待って……んっ、んぁっ……」 久々の快感に堪えきれず先生の肩にしがみついた。 「志音のなか……挿れていい?」 「ん……いいよ。陸也さん……来て」 先生の体重が俺にかかる。 後ろに当てがわれた先生自身が、じわじわと俺の中に侵入してくるのがわかった。 「あ……ぁ……ひっ…… 」 圧迫感に思わず腰が逃げるも先生に肩を抱かれ引き寄せられ、グチュっと卑猥な音を立てながら俺は先生の全てを受け止める。 「あ……陸也さん……熱い……気持ち……いい」 先生はなるべく俺に負担がかからないように、今までにないくらい優しくゆっくりと愛してくれた。 事が済んでも、先生は俺を抱きしめたままいつまでも愛の言葉をかけてくれ、俺は嬉しいやら恥ずかしいやら本当に溶けてしまいそうだった。 二人で部屋のシャワーを浴びた。 先生は身支度を整えながら俺にも支度をしろと促す。でも全然そんな気分じゃない。 「いいよ、修学旅行なんて……俺ずっと陸也さんとここにいる」 やっと俺の元に先生が戻ってくれたんだ。 もう離れていたくない。修学旅行なんてどうでもいい。 「俺まだ熱あるって事にしてさ、この部屋にいるよ。ね? いいでしょ?」 沢山甘えさせてもらって愛してもらって、幸せいっぱい。 それなのに…… 「バカなこと言ってんな。そんなのいいわけないだろ。さっさと支度しろ。朝食の時間から志音は班に戻るんだ。修学旅行、ちゃんと参加しなさい!」 急に先生ヅラしちゃってさ。 すごい怒られてしまった。 「そんなに怒ることないだろ。わかったよ……ごめんなさい。ごめんね……先生」 子どもっぽい考えを口に出してしまった事に恥ずかしくなり、おまけに先生に怒鳴られた事が悲しくてまた目頭が熱くなる。 ……ほんと俺、ちょっとおかしいや。 俯いて支度を始めたら、先生が背後から抱きしめてくれた。 「怒ってごめんな。でも修学旅行は志音にとっても大切な経験なんだ。ちゃんと友達と一緒に思い出作ってこい。な? 帰ってからいくらでも一緒にいてやるから」 「うん……ごめんなさい」 そんな事言われたら、益々早く帰りたくなっちゃうじゃんか。 俺は先生と一緒に、食堂へ向かうために部屋を出た。

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