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お土産

水族館の後も班別行動で二ヶ所程観光をして、僕らはバスに揺られて宿泊するホテルに戻った。 明日もまた土産屋に寄るみたいだけど、さっき買った周さんへのお土産を早く見せたくて僕は部屋に戻るとすぐに携帯を取り出しメッセージと共に写真を送信した。 「渡してからのお楽しみじゃないんだね。先にお土産教えちゃうの?」 志音が不思議そうにそう言って僕を見るけど、いいんだ。昨日から周さんと連絡とってないのもあるし、もし時間があれば電話をしてくれるかもしれないって……ちょっと期待してメッセージを送ったから。 僕の思惑通り、送信してすぐに僕の携帯が着信を伝える。 「あ……! 周さんだ」 嬉しくなり、僕は二人を気にせず電話に出た。 『竜太、お土産ありがとな!……懐かしいな、クラゲ』 出るなり周さんの元気な声で僕は顔が綻ぶ。 周さんも初めてのデートの水族館の事を思ってくれて凄く嬉しかった。 「今日はバイトじゃないんですか?」 『ん、今日は何もねえよ。明日は帰ってくるんだよな? 真っ直ぐ俺んち来れる?』 雅さんが結婚して、周さんはもうひとり暮しを始めてる。 修学旅行から帰ってそのまま周さんの家に行くことは母さんにも伝えてあるから大丈夫。 「もちろんですよ。夜七時すぎに駅に着く予定なので急いで行きますね」 早く会いたいな…… 『俺さ……飯作って待ってるから。あ! わかってると思うけど、俺の料理期待すんなよ。たいしたもん作れねえからな! でも頑張って作って待ってるから早く来いよ』 「………… 」 一瞬周さんが何を言っているのかわからなかった。 周さんが僕のために料理?? ご飯作って待っててくれるの?? 「え!? 本当ですか? 僕、急いで帰りますからね! 待っててくださいね!……あ! 怪我しないように、無理しなくていいですから、ほんと! 怪我だけは気をつけて!」 僕が急に大きな声を出したからか、側でにやにやしていた志音と真司君がギョッとして僕を見た。 『大丈夫だよ、そんな心配すんなって。俺だって少しは作れんだからな!』 あ……嬉しすぎて思わず言いすぎちゃった。 「はい、ごめんなさい。嬉しくてつい……楽しみにしてますね」 電話を切った後も、嬉しすぎて僕は思わずベッドに飛び込み枕に顔を埋める。 「周さん……どうかしたの? 怪我って、また喧嘩?」 志音が心配そうにするから笑ってしまった。 「違う違う、周さんがね……僕のためにね、ご飯作って待っててくれるんだって! びっくりだよね!」 もう嬉し恥ずかしで、大いにはしゃいでしまって、志音と真司君に引かれてしまった。 「……いや、竜太よかったね。胃薬ちゃんと持って行きなよ?」 「うん! わかった! ……ふふふ、楽しみだなぁ。周さんの手料理」 真司君に揶揄われたことにも気付かずに、僕は上機嫌で二日目の夜を迎えた。

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