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愛しい人を待つ時間/男の料理

今日は竜太が帰ってくる── 自分の家に寄らずに直接俺の家へ来てくれるし、昨日の電話の竜太が可愛くて嬉しくて、思わず舞い上がって「晩飯は俺が用意する」なんて言ってしまった。 いや……晩飯どうすっかな? くらいに思ってはいたんだけど、勢いって怖いな。 どうにかなるよな? とりあえず俺が作れそうなメニューを頭に思い浮かべる。 ……浮かべる。 「………… 」 なにも浮かばず、俺は修斗に電話をかけた。 「あ、もしもし? 修斗?……うん、お前いい加減学校来ねえとやばいんじゃね?」 結局修斗は昨日も今日も学校には来なかった。 俺と違ってそんなにサボってないから、まだ出席日数は大丈夫だなんて言っている。 「それはそうとさ、お前何か料理できる? 俺にも作れそうなの何か教えろ」 『は? 周が料理? いやいや……やめとけって。俺だってそんなできねえし、無理だろ』 小馬鹿にしたような口振りで修斗に笑われてしまった。 『周、無理しないほうがいいぞ。何で急にそんなこと言い出すんだ? 料理なんてお前がしなくても竜太君がやってくれんだろ? メニューのこと聞くなら俺じゃなくて竜太君じゃね?』 「違えよ、竜太が今日修学旅行から帰ってくるだろ? 俺がメシ作って食わせんだよ。いいから早く教えろ!」 それを聞いた修斗は竜太が気の毒だと大笑いして、カレーくらいなら中学ん時の家庭科でやったからお前でもわかるだろ? と言いながらさっさと電話を切りやがった。 「………… 」 クソっ、バカにしやがって。 でもイラついててもしょうがないので、俺はとりあえず買い物に行くことにした。確かにカレーなら家庭科でやったような気もするし、箱に作りかたも書いてあるだろ。 スーパーでカレーの材料を購入する。 ジャガイモに玉ねぎ、カレーのルーと肉! 野菜は切るのが面倒くせえし人参はあんまり好きじゃないから、これはいらない。 あ……そういえばいつも竜太は野菜食えってうるさく俺に言うよな。カレーだけじゃカッコつかねえからサラダもつけるか。そう思ってレタスとプチトマトとキュウリも買った。 家に帰り、早速台所でカレーを作り始める。 とりあえず野菜の皮を剥き、お袋がやってたようにジャガイモをレンジでチンした。火が通りにくいからチンすると早いんだって言ってたけど、どんくらいチンするんだろうな。ま、15分くらいか? なんて思いながら適当にボタン操作をして、今度は鍋で肉と玉ねぎを炒めた。 「ん?」 ここまでで、何でこんなに散らかるのか。所々指先も痛いし……料理って大変なんだな。 煮込んだら何故かジャガイモは鍋の中から消えてしまったけど、とりあえずカレーは出来た。 サラダを作るのも、途中でトマトが散らばったりして慌てて買い足したけど、なんとか竜太が来る前に完成した。 もう間もなくここに到着する竜太に温かいのを出してやりたいから、鍋を再度火にかけ温め直す。 俺だってやれば出来るんだ。 竜太は喜んでくれるはず…… そう思ってわくわくしてたら家の呼び鈴が鳴った。

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