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一方通行でも…/康介の思い
修学旅行の前からずっと修斗さんの様子がおかしかった──
俺と一緒にいても携帯を弄ってる。
今までは俺と一緒の時はメールが来ようが電話が来ようが無視して俺を優先してくれてたのに……
ちょっと不愉快。
遊んでても上の空。
待ち合わせに遅れたり、ドタキャンしたり……
イライラする。
不満に思う。
でもすぐにそれらは不安に変わる。
はじめこそ「携帯触らないで」と言えたのに、だんだん言葉が出なくなる。
修斗さんの態度に不安が膨らむ。
これ以上文句を言ったら嫌われるかもしれない。そう思ったら何も言えなくなってしまった。
修斗さんの顔色を伺う。
今日は機嫌がよさそう?
あ……俺のこと前みたいに揶揄ってくれた。
ちょっとした事で嬉しくなる。
冷たくされてもやっぱり俺はこの人のことが好きなんだ。
でも修学旅行の前からは、会ってもくれなくなってしまった。
明らかに俺を避けてるのがわかる。
メッセージも無視……電話にも出てくれない。
でも着信拒否をされてないだけいいのかな。
俺たち付き合ってるんだよね?
不満があるなら言ってくれればいいのに……
俺、バカだからわかんねえよ。
どうせ受け取ってもらえないだろうと思いながら、でも僅かな望みもかけて俺は修学旅行のお土産を買った。
何か口実があれば会ってくれるかもしれない。
それとも、俺の考えすぎでたまたま修斗さんが忙しかっただけで、学校に行けば今までと変わらず一緒に過ごすのかもしれない……
……そうだといいのに。
竜は相変わらず幸せオーラを振りまきながら周さんへのお土産を買っていた。
本当は俺だって、楽しくウキウキしながら修斗さんを思い浮かべてお土産を買いたかった。
何でこんなに悲しい思いをしながら恋人へのお土産を買わなきゃならないんだ? 俺は竜を恨めしく思いながら二泊三日の修学旅行を過ごした。
帰宅後もメールをしても返事は来ない。
もう電話をするのは怖かった。出ないとわかってる電話に、もし万が一出てくれたとして、その後言われる言葉を考えると怖かったんだ。
だから一方通行でもいいからメールを送る。
『明日の昼休み、一緒に食べましょう』
今までならそんな事言わなくても当たり前に一緒に昼休みを過ごしたよね。
携帯の画面を見ながら涙が溢れた。
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