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親友なのに

たまたま偶然…… そう思いたかったけど、碧先生がその後に続けて言った言葉に僕は愕然としてしまった。 「そうそう、彼ね……学年は違うけど竜太君と同じ学校なんだよ。制服姿見て知ったの。ていうかごめんね。私の恋バナなんて聞いても面白くないよね」 照れくさそうにそう言って笑うけど、正直こんなこと聞きたくなかった。 その好きな人って間違いなく修斗さんじゃん! 康介から聞かされていたことが全部繋がる。 最近会ってくれなくなった修斗さん。 色んな奴と遊んでる……って周さんが言っていた。きっとそれは碧先生も含まれてるんだ。 康介が毎日のようにつけている修斗さんとお揃いのピアス。 それと同じピアスを碧先生もつけている。 部屋に行った時に貰ったって……もう部屋に呼べちゃうような仲なのかな。 でもこんな事、僕には康介に話せない。 まだ確信はないけど。 似たようなピアスだってきっと他にもあるはずだけど…… でも直感で碧先生の相手は修斗さんだって思ってしまう。 どうしよう…… 休憩の後の勉強時間はもう僕は上の空で、何を勉強したのかなんて覚えてなかった。 僕がこんなに悶々としてても学校がなくなるわけじゃなく、朝家を出ればどうしても康介に会ってしまう。別に時間を決めて待ち合わせてるわけじゃない。でもほぼ毎日と言っていいくらい、途中で康介と合流して学校へ向かうんだ。 「よ! 竜おはよう」 ほら…… 「あ! お、おはよう!」 決まってこの道に出ると康介と出くわす。 今までは当たり前に楽しく学校まで行っていたけど、今日ばかりは会いたくなくてちょっと時間をずらして家を出てみたのに…… いつもと変わらず……を意識すればするほど様子がおかしくなってしまうらしく、康介に心配されてしまった。 「なあどうした? 顔色悪くね? 大丈夫?」 「……平気」 なんだかぎこちないまま、やっと学校に到着した。 幸い康介とクラスが違うから、ホッとして胸をなでおろす。 ホッとして? いや、なんだかこれ、違うよね。 康介とは小さい頃からの親友なのに。 それなのに何で僕は康介から逃げるようなことしちゃってるんだろう。 どうしたら康介の力になれる? 碧先生の事、何て言ったら康介を傷つけないで済むのかな…… このまま黙ってるのが友達なのかな? ……わからないや。 僕は机に突っ伏して目を瞑る。考えれば考えるほど混乱してしまう。 そもそも二人の問題。 僕が気を揉む事じゃないのはわかってるけど。 それでもやっぱり心配でしょうがなかった。

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