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僕がついてるから

机に突っ伏していると、誰かに背中をポンポンと叩かれる。 「……なに?」 少しだけ顔を上げチラッと見ると、志音が僕の前の席に座り顔を寄せ覗き込んできた。 「なに? じゃないでしょ。竜太君が学校来るなり寝てんのおかしいから……なんかあった?」 「………… 」 僕は放っておいてという意味を込めて、黙ってまた机に突っ伏した。 「全く……保健室で休んでおいで」 志音は僕の頭を優しく撫でて行ってしまった。 保健室か…… 昨晩は色々と考えてしまってよく眠れなかった。 ちょっと眠たいかも。そう思ってふらふらと僕は教室から出て保健室へ向かう。すぐに担任に見つかり注意されたけど、体調が悪いので保健室で休ませてくださいとお願いしたらすんなり行かせてくれた。 「高坂先生……ベッド貸してください」 椅子に座りコーヒーを飲んでいた先生の背中に向かってそう言って、僕は返事も聞かずいそいそとカーテンを引きベッドに潜り込む。 「おいおい、どうしたの? 具合悪いのか?」 先生がカーテンを開けすぐ側まで来たので、咄嗟に布団を被った。 「すみません! 眠たいのでそっとしておいてください!」 そう言うと、先生は吹き出して笑った。 「わかったよ。竜太くんがサボりなんて珍しいもんな。そっとしといてやるから次の時間には教室に戻りなよ」 「………… 」 僕が康介のために何かできるのか、碧先生の事を話すべきなのか、それこそ余計なお世話なのか…… 目を閉じて悶々と考えてるうちに眠ってしまった。 どのくらい経ったのか……ふと気がつくと誰かの話し声が聞こえる。よく聞くとその声は康介だった。 「ほんと君たち兄弟はよく似てるよね。心配事、悩み事があってもちゃんと食べなさい。倒れてからじゃ遅いんだよ?」 「だから! 何でもないって……ちゃんと食べてるから! もう俺行きますね」 ガラガラと扉が開く音がして、シンとなったから康介が出て行ったのがわかる。 「先生、今の康介?」 今が何時間目の休み時間かもわからずに、僕はベッドから起きカーテンを開け先生に聞いた。 「あ、やっと起きた。竜太くん、もう昼休みだよ……大丈夫? すっきりしたかな?」 「あ……はい。すみませんでした」 随分熟睡しちゃってて、自分でもびっくりする。 「あぁ、康介くんね。彼どうかした? 飯ちゃんと食べてるかな? もう顔色悪いし覇気もないし、見てられなくて思わず呼び止めちゃったよ」 元気はないけど、多分ちゃんと食べてると思う。 昼休みは僕と一緒に過ごしてるから……僕は康介がパンを頬張っている姿を思い出した。 「高坂先生? 康介は大丈夫ですよ。それに僕がついてますもん。いつも心配してくださってありがとうございます」 先生はやっぱり生徒の事よく見てる。 自分の事でも色々あって大変だっただろうに…… 感謝の気持ちを込めてそう言って、僕は昼休みを一緒に過ごそうと康介の後を追った。

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