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知らなかった真実

「あら? 修ちゃんは? 来てるわよね? ……あ、いたいた。相変わらず女の子に囲まれちゃって……て、あれ? どうしたの? 修ちゃん何かあった?」 少し離れたところで飲み物を飲んでいる修斗さんを見つけた。 女の人と喋っているようだったけど、会話が続かないのか、女の人達はすぐにどこかへ行ってしまう。 そんな修斗さんを遠目で眺めながら、雅さんは不思議そうな顔をした。 「修ちゃん元気ないじゃない。珍しい……」 「………… 」 周さんはちょっと言いにくそうにポツリと話した。 「あいつ最近本命の奴にフラれたんだよ。そっとしといてやって……」 雅さんは口をあんぐり開けて驚いた顔をする。 僕も思ってもいなかったことを聞かされて、驚き過ぎて言葉を失う。 「そうなの? でも大丈夫よ、修ちゃんはモテるんだから。心配ないわよ」 雅さんは明るくそう言うと、すたすたと修斗さんのところへ行ってしまった。 「……そっとしとけって言ってんのに。世話焼き女め」 慰めに行ったであろう雅さんの背中に向かってブツブツと文句を言う周さん。いや、待ってよ……どう言う事だよ? 修斗さんが本命にフラれたって? は? 僕は訳がわからず、周さんに詰め寄った。 「周さんっ? 僕……聞いてませんよ! フラれたってどういう事? 康介じゃないですよね?」 周さんにそう聞くと、溜息を吐きながら「そういう事だよ」と僕の頭をぽんぽんと叩く。 そういう事って…… だって康介は何も言ってなかったし、いつもと全く変わった様子なんてなかった。 なんで……? 周さんに更に問いかけようと詰め寄るも、サプライズの演奏の準備を始めろと言いに来た謙誠さんに連れて行かれてしまい、僕は一人その場に残されてしまった。 なんで…… なんで僕は気が付かなかったんだろう。 康介と修斗さんが別れた? 修斗さんが康介にフラれた? そんなの嘘だ……! だってあんなに康介は修斗さんの事が好きだったのに。どうしても僕は信じられなかった。信じたくなかった。 悶々としてるうちにステージの方がざわめき始める。 あ…… 周さん達が出てきたんだ。 席に戻った雅さんは目を丸くして驚いている。その横では嬉しそうな謙誠さん。 靖史さんが代表して、簡単に挨拶とお祝いの言葉を雅さんと謙誠さんに贈った。本当は周さんがお祝いの言葉を言う予定だったんだけど、あまりにも恥ずかしいから靖史さんにバトンタッチしてもらったと後から教えてもらった。 ……周さんらしいや。 短い曲だけど、この日のために作った二人のための曲。 普段は口に出して言えないような感謝の気持ちがいっぱいいっぱい詰まってた。親を思う優しい気持ちが詰まった曲に、いろんな感情が頭の中をぐるぐるとして、僕はまた泣きそうになった。 雅さんの方を見ると、やっぱりハンカチで目元を押さえ涙を拭っている。その横では雅さんより号泣している謙誠さん…… 謙誠さんって見かけはアレだけど、凄くいい人そう。 号泣している謙誠さんに、慌てて雅さんがハンカチを貸していた。 凄く素敵な結婚パーティーだった。 何より雅さん達が幸せそうで、周さんも照れくさそうにしながらも凄く嬉しそうで…… パーティーの後の帰り際に、嫌がる周さんを捕まえて謙誠さんと雅さん、三人一緒の家族写真を撮る。赤い顔をして照れ隠しに怒っている周さんを、靖史さんや修斗さんが揶揄った。 「周君だってあっという間にいい人見つけて家庭を持つんだよ。いいぞ〜結婚は」 少し酔っ払った謙誠さんが周さんに近づき、得意げに話す。 「言われなくてもいい人なんか、とっくに見つけてるし」 真顔でそう話し出す周さんに僕はドキッとしてしまった。

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