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終わったこと
……全く、余計なお世話だよな。
普段の俺ならこんな事は絶対にしない。
でもあんな修斗の姿を目の当たりにすれば、どうしたってなんとかしてやりたいって思うから……
修斗が後悔してるって事くらい伝えてやってもいいだろうってそう思ったから、俺は時間も構わず電話をかけた。
『は? 周さん? 何時だと思ってんすか……』
寝起き丸出しな康介の声。
溜息まで聞こえてきそうだった。
「あ……出た」
『そりゃ枕元で携帯鳴れば誰だって出るでしょうよ。ったくなんなんすか? 周さんが俺に電話なんて珍しい……』
「ああ、修斗のことでさ…… 」
電話したものの、なんて切り出したらいいのかわからず口籠ってしまった。
寝起きで寝惚けた様子だった康介が、俺のひと言で目が覚めたのかはっきりした口調で怒り始めた。
『はぁ? 周さんまで! 今日竜がうちに来ましたよ! 関係ないでしょう? 余計なお世話なんすよ! もう終わってんすから放っておいてください!』
だよな。
康介が怒るのもわかる。仰る通りだ。
「そうだな……悪かった。でもあんなになってる修斗、俺今まで見たことねえからさ。今俺んちで寝てる……泣き疲れて寝てんだよ。バカなことしたって凄え落ち込んでるからさ、それだけ伝えといてやろうかなって余計なお世話したくなった。夜中にごめんな」
『……そうですか。でももう俺には関係ない。悪いけど眠いんで切りますよ』
「あぁ……悪かったな」
不機嫌な声のまま、康介の電話が切れる。
「……… 」
わかってたことだけど、こんなもんなのか?
俺の部屋で小さくなって寝ている修斗を見て、やっぱり余計な事をしたと少し反省した。
以前の康介のイメージから、修斗が俺の部屋で寝てるなんて聞かされれば慌てて迎えに来るかも……なんて事も少し期待したけど、結局康介がうちに来る事もなく朝を迎え、俺は目を腫らした修斗に起こされた。
「周……俺帰るわ。あ、その……ありがとな」
「………… 」
酷え顔。痛々しい。
「あ……そういやさ、碧ちゃんとはどうなってんだ? まだ会ってんだろ?」
ふと頭に浮かび、玄関で靴を履いてる修斗に聞いた。
「……竜太君から聞いてない? あの時から会ってねえよ? そういえば連絡もとってねえや」
竜太から? 何も聞いてないし、そもそも竜太は関係のないことだ。
「なんの事だ? 竜太関係ねえだろ? あの時ってなんだ?」
「ああ、聞いてねえか……碧ちゃんとデート中に康介と会ったんだよ。そんとき多分竜太君も一緒。康介凄え勢いで信号無視して突っ込んできたから竜太君と話す余裕なんてなかったけどな。で、その日に俺は康介にフラれたんだ。それっきり碧ちゃんとも連絡取ってない」
……そっか。
「ちなみに竜太君の家庭教師って碧ちゃんだから」
「はぁ? マジで??」
たまたま偶然、と言う修斗の言葉に俺が驚いてるうちにクスクス笑いながら修斗は帰って行った。
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