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康介との距離

雅さんの結婚パーティーの日以来、康介と会っていない。 朝の登校時も、不思議と顔を合わせる事がなくなった。きっと康介の方から時間をずらしてるのか、それとも学校を休んでるのか…… 僕は康介と修斗さんが別れていた事実を知り、パーティーの後強引に康介に会いに行った。 怒らせてしまった── 修斗さんや志音にも僕はお節介だの余計なお世話だの言われていたのに、どうやら黙っていられない性格みたいで、相手のことも構わずに問い詰めるようなことをしてしまった。 何で? 何で、なんて康介自身が一番わかってるはずなのに…… 僕は康介に謝りたかった。 メールをしても無視された。 電話をしたって出てくれない。 一番近い距離にいた康介が遠くなってしまった。本気で怒らせてしまったんだと悲しくなる。 ずっと僕に寄り添ってくれていた康介なのに、何で僕はデリカシーのないことをしてしまったんだろう…… 後悔ばかりが湧き上がる。 昼休み、周さんと二人。 僕は康介のことを周さんに話した。 「そんな気にすんなって。竜太は悪くねえから……康介だって余裕ねえんだろ? そのうちまた元に戻れるって。な? 康介は竜太の大事な親友なんだろ?」 「………… 」 「あ! ほら……泣くなって」 周さんに慰めてもらうと、どうしても甘えてしまって泣きたくなる。 「康介、辛い思いしてたのわかってたのに……僕は傷口に塩塗るようなこと……しちゃってた。でも康介は修斗さんのこと嫌いになんかなってないと思うんだ。絶対好き……なはずなのに……」 周さんは僕の言葉を「そうだな、そうだな」と頷きながら静かに聞いてくれた。 「あんなに元気のない修斗さんだって、僕は見たくない……です」 また前みたいに戻るのは難しいのだろうか。 きっと周さんだって修斗さんのこと心配だよね。 昼休みの間、僕はずっと周さんに甘えて慰めてもらって過ごした。 今日は家庭教師の日。 碧先生は相変わらずいつもと同じ……ピアスもしっかり耳についていた。 あれから修斗さんとはどうなっているんだろう。 「………… 」 「竜太君?……聞いてる?」 「あ、すみません。何ですか?」 ついぼんやりとしてしまい、碧先生は呆れたような表情を見せた。 「ちょっと休憩しよっか? ふふ……竜太君はわかりやすいよね。でもまさか竜太君と修斗君が知り合いだなんて、びっくりしちゃった」 僕の方を見ずにそう言ってクスクスと笑う碧先生が、少し寂しそうに見えた。 「久しぶりに修斗君と会ってね、嬉しかったんだ。全然付き合ってた頃と変わらなくて……相変わらずカッコよくてね。でも大人っぽくもなってて……やっぱり好きだなぁって」 「………… 」 「知ってる? 修斗君の人を見る目……凄く周りに気を遣ってくれるし、関わる人のことよく見てるの。あんなに気の利く人初めてだったんだよね」 知ってるよ…… 優しくて頼もしくて、カッコいい。修斗さんがいるだけで周りが明るくなるんだ。 でも今の修斗さんは別人みたいに元気がない。 変わってしまった修斗さんを僕は見ていられなかった。 「でも…… 」 碧先生が話を続けようとした時、玄関のチャイムがピンポンと響いた。

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