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ヘタレ……からの決心

次の日から俺は学校で修斗さんを目で探すようになった。 メールや電話じゃなくて直接会いたい…… 会って謝りたい。 でも直接修斗さんのクラスまで出向く勇気も出ず、教室の移動や昼休みなんかでわざとらしく三年生の方へうろうろする程度だから会えるわけもなく、もどかしさだけ募っていった。 ……ヘタレだ。 朝も少しゆっくり目に出て、修斗さんのマンションの方からわざと歩く。 下駄箱に靴がなければまた引き返して修斗さんの行きそうなところをうろついてみる。 あっさり会えて、普通に声かけて謝って……もう一度告白をして……って頭の中ではちゃんとシュミレーションはできている。なのに肝心な修斗さんとは未だに会えずじまい。 やっぱり自分から連絡しなきゃダメかな。 待てよ? そうだよ! 俺、修斗さんの誕生日の時だって当日会うのを当たり前に思っててちゃんと約束しなかったから、すれ違いしそうになったんじゃん。 そもそも修斗さんは俺とはもう終わったと思ってるかもしれないし…… あ! ならあの竜の家庭教師。 修斗さんの元カノだって言ってなかったか? あの時だって修斗さんにべったりで腕組んで歩いてた。 そう、まるで恋人同士みたいに…… あの人だって修斗さんのことが好きなのは誰が見たって一目瞭然。 修斗さんだってわかってるんじゃないのか? やべぇ…… 俺ってばこんな事でうだうだやってる場合じゃなくね? もたもたしてたらさ、あの人と修斗さんが付き合うことにもなりかねない。 そう思ったらゾッとした。 嫌だ! 修斗さんが俺じゃない誰かと幸せそうにしてる姿が頭に浮かぶ。 嫌だ! そんなの絶対ダメだ。 他の人になんか取られたくない! それに、それに修斗さんだってきっとまだ俺のこと好きでいてくれてるはずだから。でも投げやりになって元カノと付き合い始めちゃったらどうしよう。 嫌だ嫌だ……! 色んな最悪の事態が頭を過ぎり、俺はテンパりながら家に戻りワタワタと私服に着替える。 ダメだよ……渡さないよ。修斗さんは俺の側にいなきゃダメなんだ。 いや、修斗さんの気持ちがもう俺から離れてしまってても、俺は修斗さんのことがまだ好きだから…… ちゃんと謝って、まだ好きだってことをちゃんと伝えて、それでも拒否されたら、今度こそ諦めよう。 諦めるなんて本当は嫌だけど。修斗さんがもう俺とは付き合えないって思ってるなら今度こそきっぱりと諦めなきゃダメなんだ。 でも俺の気持ち…… それはちゃんと伝えたい。 確か今日は竜は家庭教師の日。もう迷ってる場合じゃない。まずは修斗さんの元カノと話さなきゃ。 そう思ったら俺は竜の家へ向かってた。 それにしてもさ、後先考えないで行動しちゃうのなんとかしなきゃな。 また修斗さんに怒られちゃうや。

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