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涙のキス
「酷いことしてごめんな。康介の言う通りだよ……康介のこと、今でも大好きだ。康介が俺から離れるのが怖かったんだ。寂しかったんだ。ほんとごめん。お願い……ずっと康介のそばにいさせてよ。俺のこと、ずっと好きでいて」
康介の首筋に顔を埋め、俺は思いを告白した。
「修斗さん……もうバカなこと考えないでね。顔、見せて。キス……したい」
顔を上げると涙でくしゃくしゃになった康介が俺のことを見つめ笑いかけてる。
笑ってくれた……
よかった。
「はは……酷え顔」
「修斗さんだって」
へへ……と笑う康介に吸い寄せられるように俺は唇を重ねた。
お互いの涙が混じり合い少しだけしょっぱいそのキスは、これから先ずっと記憶に残るだろう。
喧嘩したり仲直りしたり、いろんな感情をぶつけ合ってそれでも俺はずっと康介と一緒にいたい。
自分のこの気持ちはもうブレることはない──
「康介……ありがとう。好きだよ、大好き……」
康介の匂い。
ちょっと汗臭い、俺の大好きな匂い。お互いギュッと抱きしめあって、何度も何度も啄むようなキスを交わした。
「ねぇ修斗さん、ちょっと、待って……んっ、ねぇ……んっ……修斗さん……帰ろ?……ね?……俺、したくなっちゃった」
「………… 」
顔を上気させ熱い視線を絡めてくる康介にドキッとして、コクリと俺は頷いた。「しくなっちゃった」てさ、どんだけ欲に忠実なんだよ。そう思ってちょっと可笑しかったけど、あまりに康介が可愛い顔してそんな風に言うもんだから俺もすぐにその気になった。
「でももう一回」
フッと笑みを浮かべ、そう呟く康介にグッと腰を捕まえられ今度は深い深いキス……
康介の舌が口内をぐるりと舐る。
それだけで俺はこのまま押し倒されてもいいって思ってしまう。
体の力が抜けていく。
「修斗さん可愛い。感じてきちゃった?」
腰にまわった手が、サワサワと動くたびにゾクゾクと快感が走る。
「んっ……やだ……あっ、そこ……待って…… 」
いたずらに康介の指がシャツの上から乳首を突ついた。
「修斗さん……久しぶりすぎてもう俺堪んない。早く……行こ」
唇を重ねたまま、二人でもたもたと立ち上がる。
もうひと時も離れたくないって感じで、俺たちはくっついたまま屋上の出口へ歩いた。
「………… 」
「………… 」
二人仲良く手を繋いだままドアの前……
「……? なんで開かねえんだ?」
「鍵、掛けられちゃってますね。はは……」
俺たちは知らぬ間に屋上に閉じ込められていた。
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